爪噛みや指しゃぶりは不安のあらわれ
「爪噛みや指しゃぶりのように、口に手を持っていくという行為は、“不安の表れ”の可能性が高いと言われています。赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸うと安心するというのと同じで、口に何かくわえていると落ち着くというような意味合いがあると言われているんですね」と話すのは、児童青年精神科医の新井慎一先生。
“不安感の表れ”といわれると、自分の子育てに何か原因があるのじゃないかと、思い悩んでしまうママもいるといいますが、子どもにとっての不安材料は実は様々です。
「幼稚園や保育園、小学校で嫌なことがあったり、環境の変化やお友達関係、親子関係からくる不安やストレスなど、原因は様々なんですね。お子さんを取り巻く環境は家庭環境がすべてではないので、どうかそのように思い込んで悩まないようにしてください」
(新井先生 以下同)
幼稚園や学校に行くようになれば、親が把握しきれない世界を持つわけですから、当然かもしれませんね。では、具体的にどのように対処すればいいのでしょうか?
「なかには爪噛みや指しゃぶりが単に癖になってしまって、やめにくくなってしまっているケースもあります。ただ、年齢とともに自然に治っていくことが多いですね」
ただし、小学生や中学生になっても治らないという場合は、やはり何か不安やストレスを抱えている可能性が高いそう。
「そういう場合は、“やめなさい!”と叱って、行為そのものをやめさせようとするのはお子さんのストレス助長につながり逆効果。お子さんの気持ちに寄り添いながら、まずは、日々の親子のコミュニケーションのなかでスキンシップや会話を増やしてみてください。お子さんの様子をよく観察する、また専門医のカウンセリングを受けるなどして、不安の原因を突き止めて根本から取り除いてあげることが改善につながると思います」
応急処置ではなく、お子さんときちんと向き合ってあげることこそが、改善への道につながるようですね。
(構成・文/横田裕美子)