もし、子どもが「私(僕)は性同一障害」と伝えてきたら、親はどのように受け止めればいいのだろうか? NPO法人 性同一性障害支援機構・理事長の中山貴将さんに聞いた。
「当事者である息子さんや娘さんからすれば、自分の心と体が一致していないかもというのはとても相談しづらい内容です。なので、親に相談してきたときには、100%受け止められなくてもいいので、本人の気持ち聞いてください。また、悩んでいる様子があるときには、 親の方から『何か悩んでいることがあるの?』といった問いかけをお願いします」(中山さん 以下同)
子どもが未成年の場合、医療機関に受診する場合や、学校に配慮を申し出るときに親の協力が必要不可欠だ。医療機関のなかには性同一性障害の判断ができる「ジェンダークリニック」がある。 その子がどういう場面で自分の性別に違和感を覚えていたかなどについて時間をかけて聞き取り、性同一性障害の診断をしてくれるそう。
実は、中山さん自身も性同一性障害の当事者。35歳で性別適合手術を受け、戸籍を女性から男性に変えている。カミングアウトしたときの両親の反応は?
「20代後半で親に話しました。それまでもずっと下着はトランクスで、いつも男性のような服装をしていたので、親は『やはり』という諦めの気持ちが半分、『(女性)に戻そう』という気持ちも半分あったようで、お見合い話を進めてくるようになりました。親はすぐには受け止められないようです。それからは毎年帰省するたびに少しずつ話していきました。手術を受け戸籍の変更をしたことを事後報告してからは、さすがに理解しようと努力してくれるようになりました。ここまでに5年以上かかっています」
ひと口に性同一性障害といっても、どこまで治療を受けるかは当事者ごとに異なるという。
「僕のように性別適合手術を受け戸籍まで変えたい人もいれば、手術はしなくてもいいという人もいます。また、性同一性障害について理解していてくれた親御さんが、手術前になって反対するということもあります。その都度、話し合うことが必要です」
ネットで「性同一性障害」について検索すると、様々な情報が得られる。しかし、基本的な情報を得るならば厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」がオススメだ。性同一性障害とはどのような病気であるのか、その症状や治療法、法的側面等について解説されているので、気になった人は一読してみてほしい。
(川野ヒロミ+ノオト)