●話を聞かないことで自分を守っている可能性も
子どもが話を聞かない原因のひとつとして、うるさいと感じるような聞き方、話し方をしている可能性が考えられるそう。まずはママ自身がわが身を振り返る必要があると椎名さんはいいます。
「『今日学校どうだった?』とか『ご飯美味しい?』など、子どもに対してしつこく話し掛け過ぎていないかを、まず気にしていただきたいです。とくにママと息子の会話で起こりがちなのですが、子どもとはいえ異性なので、うるさいことを言われると、嫌になって黙り込んでしまうことが多いです。ただ、これは夫に対しても同じことが言えるんです。例えば、『何時に帰ってくるの?』『ご飯はいるの?』とか、しつこく聞いていないでしょうか。もちろん、色々聞きたくなる気持ちも分かるのですが、外で働いているとそれどころではない時もあります。そして、そっけない態度をとる夫の代わりに子どもにしつこく話し掛けたり聞いたりするようになるのです」(椎名さん、以下同)
一番の問題は、子どもが話を聞いてくれないことよりも、子どもがうるさいとストレスに感じている可能性があるということ。子どもはそのストレスから身を守るために、話を聞かないという行動に出ているのかも。
●子どもが話しやすい雰囲気作りが先決
気になることを知りたいという気持ちが先走ってしまうのも、子どもを気にかけるあまりのことなので仕方がないのかもしれません。だからといって、話を聞いてくれないと悩みすぎてしまうのは、逆に子どもの負担になってしまうようです。
「もし聞こえないふりをされたときは、『なんで返事しないの?』と問い詰めるのではなく、少しほっといてみるとか、『いま話聞きたくない?』『嫌なことあったのかな?』と気持ちをおもんばかってあげることも必要です。子どもは言いたいことがあっても即反応できないことが多いものです。その場で思うように返答が帰ってこないからといって怒らずに、スルーしてあげましょう。何日か経って『この前しゃべらなかったけど何かあったの?』とさりげなく聞いてあげてもいいかもしれません。子どもは本当に楽しいことがあったら自分から話をするものです。もし何を聞いても、ずっと話さないということがあったら、自閉症などの病気の可能性も考えられます。少し異変を感じたら、カウンセラーなどの専門家を頼るといいでしょう」
思春期などは親と口を聞かなくなると言われますが、小さな子どもであっても時には話したくないタイミングがあるもの。親の聞きたいことを無理に話させようとするのではなく、話しやすい雰囲気を作って上げる度量も必要なのかもしれません。
(文・末吉陽子/やじろべえ)