1カ月の食費はどのくらい?
どの家庭でも、食費は多かれ少なかれ必ずかかるものです。あなたの家庭の食費が日本の平均と比べて少ないようであれば、それほど節約する必要はないかもしれません。
逆に平均よりも多く使っている場合は、節約の余地があるといえます。1カ月の食費はどのくらいがちょうどよいのか、平均額を見ていきましょう。
統計によると4人家族の平均は約6万円
2019年に「総務省」が実施した家計調査のうち「4人世帯(有業者1人)-年間収入階級別」の資料によると、就業者が1人の4人家族の食費の平均は1カ月あたり7万8898円です。
ただし統計の金額には酒類(1979円)と外食・給食費(1万6871円)が含まれています。酒類や外食・給食費を除いた家庭内での純粋な食費の平均額は、「6万48円」です。
また、同じ4人家族でも、子どもの年齢や性別によって食費が変わります。乳幼児しかいない家庭と食べ盛りの中学生や高校生がいる家庭とでは、子ども1人につき数千円程度の差があるでしょう。
出典:家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2019年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
エンゲル係数から見る食費が占める割合
エンゲル係数とは、「家計の消費支出のうち食費が占める割合」のことです。2019年の家計調査では、4人家族の消費支出の平均は33万391円でした。食費を7万8898円(外食・酒類含む)として計算すると、エンゲル係数は「約23.9%」となります。
同統計では、食費のうち外食や酒類の支出を抜いた額は6万48円でした。この場合のエンゲル係数は「約18%」となります。
エンゲル係数は、「所得が高い家庭ほど低くなる」のが一般的です。同調査でも、年収が300~350万円の家庭は「約28.6%」、1000~1250万円では「約23.3%」と高所得な世帯ほど低くなっています。
また、エンゲル係数は「都市の規模が大きいほど高くなる」こともわかっています。大都市では外食したりお惣菜を買ったりする人が多いことが、食費がかさむ原因となっているようです。
世帯年収や住んでいる場所を参考に、あなたの家庭のエンゲル係数が適当かどうかを判断するとよいでしょう。
はじめ取り組む節約術
食費は生きていくために必要な出費です。無理に減らそうとせず、健康的な生活ができる範囲での節約を心がけましょう。食費節約のために、はじめに取り組むべきポイントを解説します。
食費にいくら使っているか把握する
まずは毎月食費にいくら使っているのかを、正確に把握する必要があります。なんとなく食費が高いと思っているだけでは、どのくらい節約すればよいのかわからず、目標を決められません。
毎日家計簿を付けるのが理想ですが、面倒な場合はレシートを保管しておき、月末にまとめて計算するだけでも十分です。「スマホのカメラでレシートを読み取る」だけでよい家計簿アプリもあるため、続けやすい方法を探してみましょう。
スーパーでの支払いを、すべてクレジットカード決済にするのもおすすめです。購入履歴を見れば、食費にいくら使ったのかひと目でわかります。
1カ月の予算を設定する
1カ月の食費が把握できたら、今後の予算を設定します。予算は「現状の金額」からかけ離れないようにすることが重要です。
食費が8万円かかっているなら、いきなり3万円にするのではなく、数千円から1万円程度減らすことを目標にすると、無理なく続けられるでしょう。
レシートなどで毎日の買い物内容を振り返れば、無駄な部分が見えてきます。「どうしても買わなければいけないもの」と「買わなくても済むもの」に分けて、少しずつ無駄な買い物を減らしていくのが成功のポイントです。
外食費を含めず管理する
食費は、外食費やお酒代は含めずに管理しましょう。外食や飲酒には、趣味・レジャーの要素も含まれます。おいしいものを食べたり、友人と飲みに行ったりする楽しみまで我慢していては、ストレスがたまってしまうでしょう。
外食や飲酒の費用を節約しなくてもよいわけではありませんが、家庭での純粋な食費とは節約のポイントが違うため、それぞれ分けて管理する方が効率的です。
すぐに実践できる賢い買い物術
食材の買い方を工夫すれば、無駄な買い物が減り食費の節約につながります。今日から実践したい買い物術を見ていきましょう。
1週間分をまとめて買う
お店に行くと、新製品やおまけ付きなど魅力的な商品が目に入り、必要がないのに買ってしまうことがあります。店を訪れる回数が多いほど、余計な出費が増えがちです。「買い物に行く曜日」を決め、1週間分の献立に必要な食材をまとめて買うようにしましょう。
足りないものがあったときのために、「予備の日」を決めておくのもおすすめです。週に1~2度しか買い物しない習慣を身につけることで、無駄遣いを減らせます。
1回に使う金額を決める
買い物に行く回数を減らしても、1回の買い物でたくさん使ってしまっては本末転倒です。月の初めに使いすぎて、月末には食費が足りなくなることもあります。
「月の予算から1回の買い物に使う金額」を割り出し、超えないように気を付けて買い物しましょう。たとえば、毎月の食費を6万円に抑えたいなら、1週間に使える金額は1万5000円以下です。
「もし1万6000円使ったら翌週は1万4000円にする」など、予算内で済ませることを意識すれば買いすぎを防げます。
特売日につられて買いすぎない
スーパーの特売日はお得ですが、買うつもりのなかったものまで買ってしまうこともあります。特に、「消費期限・賞味期限が近い食品」には、注意が必要です。
たくさん買っても食べ切れずに捨ててしまっては、お金も食材も無駄になります。値段に惑わされず、「本当に必要なもの」だけを買うのが本当の節約術です。
購入した食材も無駄なく使おう
まとめて購入した食材は、調理方法を工夫して無駄なく使い切りましょう。保存や作り置き、リメイクのコツを紹介します。
冷凍して保存期間を長くする
肉や魚などの消費期限が短い食材は、早めに冷凍庫に入れるのが基本です。「下味」を付けて冷凍しておけば、解凍後すぐに調理できて食事の準備も楽になるでしょう。
ブロッコリーやほうれん草、にんじんなどの野菜も茹でてから冷凍しておくと、長く保存できます。食感を損なわずに冷凍したいなら、サッと洗ってから生のままで冷凍してもOKです。
まとめて作り置きする
1週間ほど冷蔵保存できる常備菜を作り置きすれば、食材を無駄なく使えるうえに、ガス代・水道代も節約可能です。買ってきた野菜が新鮮なうちに、まとめて調理しておきましょう。常備菜があれば、忙しい日のお弁当や夕食作りも楽になります。
また、まとめ買いをした際に作り置きしておくことで、複数の野菜を様々な料理に少しずつ使えるのがメリットです。食材のロスが減り、栄養バランスもよくなります。
食材が傷まないようにするためには、保存容器を毎回消毒しましょう。中性洗剤で洗った容器とフタの水気を軽く切ってから、アルコールスプレーをかけます。清潔なふきんでふき取った後に、料理を入れましょう。
残り物はリメイクする
おかずは一度にたくさん作る方が食費を節約できますが、同じメニューが続くと飽きてしまいます。スープや常備菜などは、あらかじめリメイクすることを意識して作るとよいでしょう。
「はじめに薄味のおかずを作り、濃い味に変えていく」のがリメイクのコツです。ポトフをカレーにしたり、鶏のから揚げを油淋鶏や酢豚風にアレンジしたりなど、様々なリメイクアイデアがあります。
安いひき肉でミートボールをたくさん作って冷凍しておけば、煮込みハンバーグやシチューの具などに活用できて便利です。
食費の節約は、多くの家庭で頭を悩ませている問題のひとつですが、楽しみながら少しずつ減らしていきましょう。
まとめ
4人家族の食費の平均は約6万円、エンゲル係数は約24%です。平均値がわかれば、食費がほかの家庭と比べて高すぎるかどうかを判断できます。
ただし家族構成や可処分所得によって、食費の基準は変わります。実際に使っている金額を把握したうえで、あなたの家庭にとって無理のない目標を設定しましょう。
節約のポイントは、まとめ買いと食材の有効活用です。必要なものだけを買い、食材を上手く使いまわして、お金をかけずに豊かな食生活を送りましょう。