「子どもの足はまだ幼少期は発達段階で、赤ちゃんの骨はほとんどが軟骨です。軟骨が硬い骨にかわり、全部そろって骨格が完成するのが11歳くらい、さらに成長して大人の足になるのは18歳くらいなんです。つまり、それまでの成長段階に合わない靴を履かせてしまえば、足のほうが靴に合わせて変形してしまう可能性があります」
と話すのは、理学療法士で足と靴の専門家の佐々木克則先生。さらに、次のようなわかりやすい説明をしてくださいました。
「お子さんの足を“こんにゃく”に例えます。ぐにゃぐにゃのこんにゃくを、こんにゃくでできた器にいれたら、どうなりますか? 安定しないですね。じゃあ、こんにゃくを木の枡(マス)にいれたらどうなりますか? しっかり固定されますね。まさに靴は足を入れる“入れもの”ですから、しっかりしたものでなければ意味がないんです。しかも、ぴったりとサイズも合っていなければ、安定せず足に負担がかかってしまうわけです」(佐々木先生 以下同)
以上のこのことからも、大人の靴選びとは大きく違うことがわかりますね。
●子どもの靴選びの難しさ
さらに、子どもならではの靴選びの難しさがあるという。
「子どもは痛みに鈍感なんですね。というのも、軟骨というのは変形しても、痛みを感じないんです。履き心地に異和感があっても、3~5歳くらいの子どもの場合、痛みを訴えないこともしばしば。だから、親が合っていない靴を履かせていても、気づかずそのまま放置されがちです」
また、子ども靴の型は大人靴のように男女で太さを変えていないため、女の子が“外反母趾”になるケースもあるそうで、要注意だそう。
「子どものうちは、食べ物でも服でもなんでもお母さんが選んで買い与えますから、靴も同じです。とにかくお母さんに靴の正しい知識を持ってもらうことが、子どもたちの足を守ることにつながるのです。」
●靴選びの大切さを子どもたちに伝えてほしい
靴に対するママの認識の違いは、普段の何げない光景にもあらわれているという。
「よく日本のママは、時間をかけて靴を履こうとしてる幼児に“早く履きなさい!”とか言いますよね? あれは、靴文化のヨーロッパでは決してみられない光景なんですね。靴文化の国の人にとっては、靴は体の一部という考え方ですから、靴は時間をかけてしっかり履くという習慣が身についているんです。日本も靴の文化を取り入れた以上は、きちんとした知識を身に付け、子どもたちへとその大切さ伝えていってほしいですね」
まずは我が子の靴選びを見直し、その大切さを子どもに伝えていくこと。それこそが今後の日本人の正しい靴選びの認識の向上へとつながっていくのではないでしょうか。
(構成・文/横田裕美子)
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