そこで気になるのが、ゲーム機がもたらすデメリット。一般論では、いろいろとゲーム機の影響について言われますが、本当のところはどうなのでしょうか?
「ゲーム機が与える悪影響についての研究は進んできてはいるものの、あまりはっきりした見解はないんですね」
と話すのは、子どもメディア論を専門とする相模女子大学・准教授の七海 陽先生。
「脳への悪影響についても、まだまだわかっていないことが多く、例えば視力低下や学力低下、運動能力低下についても、一概にゲームだけが原因とは言うのは難しいのです。ただし、もちろん何事もやりすぎによる弊害はないとは言い切れませんので、そこは親がきちんと生活のバランスを管理する必要があると思います」(七海先生 以下同)
こんな興味深い調査結果もあるといいます。
「日本の9歳の男女に行った調査で、ゲーム接触時間の長さと“キレやすさ”との相関を調査したところ、男子ではゲーム接触時間が長いと“キレやすさ”を低減させるという結果が示されたんです。そこでポイントだったのが、男女ともに“学校生活に満足しているかどうか?”で、満足している子は、ゲームを長時間やっていても攻撃的になることにつながっていませんでした」
ただし、ゲームソフトの内容次第では気をつけるべきだという。
「海外の研究で、小学生の頃にあまりに攻撃的なゲームばかり繰り返しやりすぎると、何年か後に攻撃性へ発展する可能性があるということも示唆されています。ゲームソフトに関しては、“CERO”という機関でゲームソフトの内容により対象年齢をA・B・C・D・Zで定め、ソフトのパッケージにも表示しているので、そちらを必ず確認して与えるソフトを選んでください」
さらに、ゲーム機ならではの特に気をつけてほしいデメリットについても教えてくださいました。
「ひとつめは、ゲームがやめられず遅寝や睡眠不足によって生体リズムが崩れてしまうことです。ひどくなると睡眠障害に発展してしまいます。また、筋肉や骨を育て身長を伸ばしたり、疲労回復や病気への抵抗力をコントロールする成長ホルモンは、夜寝ている時にたくさん分泌されますので、ゲームを夜遅くまでしたり、寝る前にするのは避けてください。脳が興奮状態になってしまい、睡眠の質も悪くなってしまいます」
また、「いまやゲーム機はインターネットにつなげられる機械です。親が知らぬ間に、子どもが危険なことに巻き込まれるという事態を回避するためにも、インターネットにつないだり、見知らぬ人とやりとりすることなどを保護者が制限できる“ペアレンタルコントロール”や、有害サイトへのアクセスを制限できる“フィルタリング”の設定を必ず行ってください」と先生。
ゲーム機のデメリットを回避し健全に使用するためには、やはり保護者である親がしっかりとした知識をもち積極的に環境づくりに関わり、子どもを守るという姿勢が不可欠のようです。
(構成・文/横田裕美子)