ゲーム機がもたらすメリットってある?

ゲーム機がもたらすメリットってある?

第3回 わが子にゲーム機を与える?与えない?
子育て環境においては、ゲーム機に関してあまりメリットを語られることがないもの。でも、子どもが楽しんでいるということは、ゲーム機がもたらすメリットもいろいろあるのではないでしょうか?

「ゲームをすることで、知らず知らずのうちに学習していることは、実はけっこう多いんです」

そう、話すのは、子どもメディア論を専門とする相模女子大学・准教授の七海 陽先生。直接勉強につながらなくとも、ゲームを通して何かしら得て、学んでいるという。

「例えば、ゲームをやりながらルールが学べます。ここまでクリアしたという達成感を得ることもできます。知識も増えます。息抜きにもなります。友達とのコミュニケーションツールになります。そして、何より楽しんでいるということが大切なことではないでしょうか? 大人たちは、この気持ちにまず気づいてあげる必要があると思います」(七海先生 以下同)

ママたちが我が子のゲーム機との関わり方を心配する一方で、こんな調査結果もあるそう。

「実は、小学生の社会性に関しては、むしろゲームをやっている子のほうが高いという研究結果もあるんです。ゲームを通じて友だちを増やす、コミュニケーションする機会が増えることから得られる副次的なメリットなのでしょう。このことからも、必ずしもマイナスではないと言えるんですね」

ゲーム機がもたらすメリットってある?

また、これほどまでに子どもたちが楽しみ、どんどんハマってしまう理由はゲームの“ある特性”にあるという。

「ゲームは“褒めるメディア”と言われています。ゲームのなかでちょっと成功するとすごくほめられる。それがさらに段階ごとに小→中→大とちょっとずつ増していくので、子どもはほめられるたびにうれしい。だから楽しい。つまり自己肯定感をゲームから次々と得ているからやめられなくなるというわけなんです」

最近では、その特性を活かし、授業や教材などとして教育現場にもゲームの要素が導入されているという。ゲームの特性を教育現場に活かすことで、勉強嫌いだった子どもの勉強へのモチベーションが上がった事例もあるといいます。デメリットのほうをつい意識しがちですが、メリットもいろいろとあるということにあらためて気づかされますね。

「もちろん、メリットについては、質のいい使い方をするということが前提ですから、やはりデメリットの部分をしっかり子どもに理解させ、使い方のルールをしつける。そのうえでメリットを活かしていけば、ゲーム機の可能性ももっといい方向に広がっていくのではないでしょうか?」

物事には、必ずメリットとデメリットがあるものですね。その両面を理解したうえで、“いかに有効な使い方をするか?”ということが大切なようです。

お話をうかがった人

七海 陽先生
七海 陽先生
相模女子大学 学芸学部 子ども教育学科准教授
コンピューターメーカー勤務を経て、フリーランスへ。デ ジタルメディアと子どもの育ち・発達を領域とし、調査 研究・執筆・講演活動を行い、現在は相模女子大 学にて教鞭をとる。専門は児童文化学、子どもメデ ィア論、メディアリテラシー教育など。著書に『佐藤家の デジタル生活 子どもたちはどうなるの?』がある。
コンピューターメーカー勤務を経て、フリーランスへ。デ ジタルメディアと子どもの育ち・発達を領域とし、調査 研究・執筆・講演活動を行い、現在は相模女子大 学にて教鞭をとる。専門は児童文化学、子どもメデ ィア論、メディアリテラシー教育など。著書に『佐藤家の デジタル生活 子どもたちはどうなるの?』がある。