●小学校への不適応は早めに察知
「小1プロブレム」は、どんな子どもにも起こりうることなのでしょうか? 20年間にわたり子どもたちを指導してきた埼玉県深谷市立桜ヶ丘小学校の鈴木邦明教諭に、小1プロブレムを引き起こしやすい子どもの特徴を聞いてみました。
「学級にすんなり馴染む子もいれば、しばらく時間が経っても馴染めない子もいます。そんななかでも、とくに気に掛けた方が良いのは、『落ち着きのない子』『こだわりの強い子』です。小学校への不適応をきっかけに知能テストなどを受け、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害などと診断されるケースもあります」(鈴木教諭、以下同)
普段の子どもの様子を注意深く観察し、他の子に比べて小学校への適応が遅いと感じたら、すぐに手を打つことも大切なようです。
「そうした障害があったしても適切な支援を行えば小1プロブレムを克服し、十分学校生活に適応できるようになります。逆に気づかないままで放置していると、様々なトラブルを起こしてしまい、学級を混乱させてしまうこともあります」
●保護者と教員連携で「小1プロブレム」を克服
小1プロブレム克服には、保護者のサポートが欠かせないと鈴木教諭はいいます。
「子どもに何か問題が生じたとき、教員と保護者との連携が取れる状態であれば、子どもが学校生活に適応できる場合が多いです。その子どもの強い所と弱い所をきちんと把握したうえで、両者が協力し合ってスムーズに対応できるためです」
実際に保護者に協力してもらって、問題を克服した子どものケースもあるそう。
「例えば、学校に通うことで親と別々になることが不安で落ち着かない子の場合、保護者にしばらく教室の隅で見守っていてもらったことがあります。その子は半月ほどで、教室に保護者が居なくても元気に過ごせるようになりました。また、通学に不安がある場合、慣れるまで登下校に保護者に付き添ってもらったということもあります。そのほかの場合でも、教員と保護者が連絡を密に取ることができるような状況であれば、問題を克服することができる場合が多いです」
逆に教員と保護者の協力体制が不十分な場合、状況が好転せずに、小1プロブレムの悪化にもつながってしまうとか。子どもが学校に適応して、毎日楽しく過ごすためにも学校と家庭の連携は欠かせないようです。
(文・末吉陽子/やじろべえ)