●小学校の習慣を家庭で実践してみる
具体的な方法として考えられるのは、「小学校のシステムを家庭に取り入れること」なのだそう。なかでも、大事にしたいのが時間に対する意識。
「学校は、45分を1単位として授業などの活動が構成されています。そのため、家でも子どもに時間を意識させるように心がけるといいでしょう。約束の時間になったら、遊びなどを終わらせるという練習をすると、決められた時間で動くという習慣が身につきます」(鈴木教諭、以下同)
ポイントは一度定めたルールを崩さないこと。ここで子どものワガママを聞き入れると、学校でも集団生活に適合できなくなってしまうようです。
「たとえば、図工で粘土をやった際、子どもが終わりの時間になっても、『まだやりたい』と駄々をこねることがあります。しかし、小学校は、一定のスケジュールが決まっているので、子どもの一人の思いだけで変更されるものではありません。それぞれの子どもの言うことを聞いていたら、学級が機能しなくなる可能性もあります。そうならないためにも、普段の家庭生活で時間を区切って行動させ、時間割のようにスケジュールを組んで生活してみるのも良いかもしれません」
●幼稚園・保育所とのギャップも家庭でカバー
また、親自身が「幼稚園と小学校の特性の違い」をしっかりと理解することも重要なポイントなのだとか。
「日本の小学校では、使われる教科書や活動の時間などが国によって決められており、それがほぼ同質で行われています。しかし、幼稚園・保育所は、少し状況が違います。『はだし保育』『英会話』『昔遊び』『文字の指導』など、それぞれ異なる特色を持っており多様化しています。そうした特色をもとに幼児教育を行うことはとても良いことなのですが、小学校のシステムとの間に大きなギャップが生じてしまうものもあります。特に、『子どもの思いを十分満足させるまでひとつのことをやらせます』というような特色をもつ園に通っていた子どもの場合、小学校の教育システムとの違いに戸惑うケースも多くなると思います」
子どもの個性を重んじる教育と、規律や社会性を育む教育。どちらも重要ですが、時にそのギャップは子どもたちを苦しめてしまいます。まずは親がその違いを認識し、幼稚園では「自由にのびのび」、家庭では小学校に上がる準備として、前述のような時間割を使った訓練をさせる。そうした親のサポートで、子どものギャップを少しでも埋めてあげましょう。
(文・末吉陽子/やじろべえ)