「日本の公園は防犯キーワードを踏まえて設計されておらず、公共トイレの防犯性能がとても低い。ヨーロッパやアメリカでは、公園を悪用する人がいるという前提で設計しています。子どもの遊び場への視線を確保するために、仕切りは視線を遮る木々や植木ではなくフェンスを使うなど、犯罪を抑制する工夫が見られます」(小宮先生 以下同)
小宮先生が危険だと指摘するのは、「入りやすく見えにくいトイレ」だ。具体的には以下のとおり。
・男女共用(「だれでもトイレ」もここに含まれる)
・入口が男女で同一
・トイレ内から周囲に家の窓が見えない
・壁が邪魔をして入口が見えない
・ゴミや落書きが多い(地域が知らんぷりをしているので、トイレに限らず犯罪者が好む場所になる)
過去の事件でいえば、「熊本3歳女児殺害事件」(2013年)では、スーパーマーケットの「だれでもトイレ」が犯行現場に選ばれた。犯人は女児と一緒にトイレに入り性的行為を犯していたが、トイレの外から女児を捜す声が聞こえドアをノックされてパニックに。女児の口をふさぎ、首を圧迫して窒息死させてしまった。
●犯罪被害にあわず、公共トイレを子が安心して使うには
そもそも、犯罪に巻き込まれない安全な使い方はあるのだろうか?
「入りにくく見えやすいトイレを選ぶことが一番ですが、日本にはほとんどありません。海外では男女の入り口を離して設置していることが多く、韓国の天安駅では男子用・女子用・男性身体障害者用・女性身体障害者用、と4つのゾーンを設ける工夫がされています。日本では、大人が常に付き添って、ひとりでトイレを使わせないようにするしかありません」
ほかにも、西洋諸国の公共トイレには個室の扉の下に大きな隙間を設けているのが基本的だ。足元が見えるため、犯罪者がなかで犯罪を起こしづらいというメリットがある。ところが、日本ではこのような見えやすい構造は一般化していない。公共トイレの密室性を悪用する犯罪者がいるため、子どもをひとりでトイレに行かせるようなことは絶対にやめよう。
(石水典子+ノオト)