これまで幼い子を持つ親世代から、学資保険の相談を数多く受けてきたファイナンシャルプランナー・森本希代子さんに聞いた。
「小中高を私立にするか公立にするか、大学に進学するか、進むとしたら文系・理系のどちらにするのか、自宅通学か親元を離れるのかなど、そのときどきの選択に応じて、必要な費用は大きく左右されます。必ずしも1000万円かかるわけではありませんが、大学進学を視野に入れるなら妥当な数字といえると思います」(森本さん 以下同)
文部科学省の「子供の学習費調査」(平成24年度版)によると、幼稚園から高校までオール公立に進学した場合の総額は約500万円。さらに大学4年間の教育費を考えると、一番安い国公立でも卒業まで約518万円かかる。(日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」平成25年度)
つまり、わが子を大学に進学させるという前提ならば、一人あたりの教育費がトータル1000万円という数字自体は、やはりほぼ正解なのだ!
●教育費1000万円が必要になるタイミングを知るべし
けれども、教育費を総額で考えるのは意味がない。それより大事なのは、「いつ」「いくら」かかるのか、きちんと心積りしておくこと。その補助線となってくれるのが学資保険だ。
「日本の現状の教育制度、小中高の6・3・3システムが崩れない限りは、支出のタイミングは決まっています。そのなかで一度気に最もお金が出て行くのは、やはり大学入学時。初年度納付金だけでも約100万円はかかります。学資保険のご相談に来られる親御さんは、大学の学費用に学資保険を利用される方が圧倒的に多いですね」
そもそも、学資保険は普通の貯金とどこが違うのだろう?
「ひとつは“宛て先”があるということ。普通の貯金にはそれがありませんよね。学資保険は被保険者をわが子にすることで、『この子の将来のために』という意識で着実にお金を積み立てることができます。もうひとつは、節々のタイミングで受取金がもらえることです」
例えば、小学校入学時に学用品をそろえたいとなったら、A社の学資保険ならそのタイミングで5万円の受取金がおりるから、足りない分は貯金でフォローしよう、というように計算の目処が立つ。そこが普通の保険とは違うところだ。
「もちろん学資保険だけで教育費のすべてをまかなうことはできません。浪人して予備校に通うことになったり、高校まで公立のつもりが私立になったり、と想定外のことも起きるでしょう。でも、わが子の将来を支える基盤として捉えれば、学資保険はとても有効な手段のひとつです」
1000万円という数字に漠然と怯えるのではなく、いつどのタイミングで教育費がかかるのかをしっかり把握しておけば不安は軽減されるはず。今から時間をかけてしっかり準備していこう。
(阿部花恵+ノオト)