PTA活動に理想の形はある?

PTA活動に理想の形はある?

第2回 仕事感覚生かし 新しいPTAを
活動目的も曖昧で、時間的負担も大きいPTA活動。旧態依然としたこの組織を、有意義な組織へと変革することはできるのか? AERAワーキングマザー1000人委員会はPTA部会を発足。共働き時代の新しいPTAのあり方を提言する

●親が楽しめ 子に役立つ組織へ!

PTAの行事には、ヨガ教室やフラワーアレンジメント講座など、活動の意義がわかりづらいものもある。親の「親睦」は必要ないという考え方もあれば、子どもの間でトラブルが起きたとき、親同士が顔見知りだと収めやすいので、子どものためになるという考え方もある。

「PTA活動は何のためにするのか目的が示されておらず、子どものためになるかどうかの基準も曖昧。改革しても評価されにくい」(品川区の中高一貫校・日野学園 でPTA会長を3年務めた鴇田宣一さん)

決められた仕事を踏襲し、教室にこもってベルマークを貼ったり、行事にサクラで参加したりすることが「子どものため」になるのか。親がやりがいを見いだしにくいPTAとは別に、自主的なボランティア組織や、キャンプやバーベキューなど親子が関わる行事を運営する「おやじの会」などの組織がある学校もある。

「親が楽しんでやれるのなら、『おやじの会』の役割だけで十分では。誰かに嫌な思いをさせてまでPTAにこだわる必要はないと思います」(『PTAをけっこうラクにたのしくする本』の著者・大塚玲子さん)

子どもや学校、社会のために役に立てているという実感がもてれば、PTAは義務感で嫌々するものではなくなるだろう。仕事を休んでまで参加したのにつまらない、子どもに寂しい思いをさせてまでやるものなのか、という恨み節も防げるはずだ。

今年度に大田区の公立小で役員を務める女性は、昨年は仕事と育児のかたわら、ボランティアに没頭した。どんなに忙しくても、やりがいを感じられたので苦にはならなかった。今年度はPTAの役員に名乗り出た。古色蒼然としたPTAを、下の子が小学校に入学するまでに変えたいという使命感もあったからだ。

「公立小でPTAに参加するのは、地元をつくるということ。会社に人生を捧げる働き方にはそろそろピリオドを打ち、会社でも家庭でもないサードプレイスで自己実現を果たすのが、新しい生き方ではないでしょうか」

専業主婦が家庭に縛られて、週末に外出しづらいのが当然でいいのか。平日の行事には絶対に参加できないような働き方ってどうなのだろう。会長など幹部だけを男性が占める多様性のない組織に未来はあるのか──。

PTAを変えるためには、同時に家族観や働き方も見直す必要がある。既存の仕組みにとらわれず、自分なりの関わり方を考えてみることも、PTA改革の第一歩かもしれない。
(記事提供:『AERA』 文・『AERA』編集部 小林明子)