「鼻血は、鼻の内側の血管が密集している粘膜が切れて出血するので、一回切れると出やすくなってしまうのですね。また、風邪やアレルギーがあると、粘膜が腫れぼったくなるのでより切れやすくなります。子どもは鼻を打ちつけたり、鼻いじりをよくするのも出しやすい理由のひとつです」
そう話すのは、松村医院の院長・松村真司先生。鼻血は大人になると、だんだん出にくくなっていくそう。
「成長とともに鼻の内側の粘膜が発達して強くなり、出にくくなっていくことが多いんですね。お子さんの鼻血も、正しい対処法で止血して止まれば、ほとんどの場合において心配はありません」(松村先生 以下同)
実は、この“対処法”が間違っている人が多いという。そこで、正しい鼻血の対処法を教えていただきました。
「鼻血というと、上を向いて首をトントンしたり、鼻にティッシュを詰めたり…という対処法をしている人が多いのですが、これは間違っています。上を向いてしまうと、止血の効果どころか鼻血が喉に流れてきてしまいます。また、ティッシュを詰めるのは、鼻の粘膜を傷つけやすいので逆効果。しかも、患部に届いてないことが多く止血ではなく栓をしているだけになってしまうこともあります。正しい対処法は、椅子に座らせ、下を向かせ鼻の中央部をギュッとしっかりつまんで抑え“圧迫止血”します。これでだいたい5~10分で止まります」
●鼻血が重大な病気のサインの可能性も!
ただし、この対処法でも鼻血が止まらない場合、出血が大量の場合、長時間出続ける場合、鼻を打ったりいじったりもしていないのに頻繁に出る場合などは、重大な病気の可能性もあるので注意が必要だという。
「止まらない鼻血でもっとも心配なのは、血液の病気ですね。例えば、代表的なものでは『白血病』、血を固める血小板が足りなくなる『血小板減少症』、先天的な凝固異常による『先天性血液凝固因子欠乏症』」など、ほかにもいろいろあります。そのほか、糖尿病でも鼻血の症状がでることがあります」
では、心配ない鼻血と、これらの重大な病気を見分けるポイントとは?
「やはり、止血しても血が止まらないという場合。それから、血液の病気の場合は、アザができやすくなるので、スネの部分にアザや赤い点状の“出血斑”がないかをチェックしてください。ほかにも、歯磨き中に歯肉から血が出る、キズの血が止まらない、顔色が悪い、だるい…などの症状がないかを確認してください。もし、これらの症状もあった場合は、すぐに病院に行ってください。白血病などは、早期発見で治る確率の高い病気です。おかしいな? と思ったら、放置しないことが何より重要です」
たかが鼻血。されど鼻血…。お子さんの鼻血が出たときは、“いつものこと”と放置せず、ほかの症状がないか念のためチェックを忘れずに!
(構成・文/横田裕美子)