赤ちゃん返りの原因
赤ちゃん返りとは、「ある程度成長した子どもが、突然まるで赤ちゃんのような振る舞いをすること」です。赤ちゃん返りをした子どもの心には、何らかの心理的ストレスがかかっているのかもしれません。まずは、主なふたつの原因について見ていきましょう。
下の子を妊娠、出産したとき
赤ちゃん返りは「下の子を妊娠、出産したとき」に起こりやすいといわれています。ママの関心が自分から赤ちゃんへ移ったことを敏感に察し、無意識に愛情を取り戻そうとしているのです。
妊娠すると、思い切り動き回ることも、上の子をおなかに乗せて遊んであげることもできなくなります。赤ちゃんが生まれれば、乳児のお世話と家事に追われ、それまでのように上の子に構えません。
こうしたママと自分の関係性の変化から生じたモヤモヤをうまく消化できず、赤ちゃん返りとして表面化してしまいます。
環境に大きな変化があったとき
「子どもを取り巻く環境の変化」も、赤ちゃん返りのスイッチを入れるきっかけとなります。環境の変化とは、たとえば引越しや幼稚園・保育園への入園などです。
環境の変化は、大人にも少なからずストレスを与えます。しかし、特に感受性の強い子どもの場合、その幼い心にかかるストレスは大人とは比べものになりません。
見知らぬ場所・新しい顔ぶれ・今までと違う行動サイクル、すべてが子どもにとっては自分の知識のなかにないものです。不安な環境に身を置いて、全身でママの助けを求めるのも無理はないでしょう。
具体的にどのような行動をする?
ストレスの発散方法が人によって異なるように、赤ちゃん返りの症状も子どもによって様々です。ここに挙げるものがすべてではありませんが、多くのママを悩ませる典型的な症状をよっつ紹介します。
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自分でできることをしない
ひとつめは「今までできていたことをできないと言うようになること」です。ママが手助けするまで、自分からは動こうとしません。
たとえば、着替えを用意しても自分で着替えようとしないなどといった行動が見られます。ごはんを食べさせてもらいたがったり、外出先でベビーカーに乗りたがったりすることもあるでしょう。
本当に能力が退行したわけではないため、赤ちゃん返りがおさまれば以前と同じようにできるようになります。
わがままが増える
「今までよりも激しく要求をぶつけてくるようになった」というのも、よく聞かれる症状です。まるでイヤイヤ期の真っただなかに戻ったかのようにわがままを言うようになります。
「歯磨きをする」「お片付けをする」といった習慣的なことに反抗したり、大人同士の会話に割って入ったりする様子も見られるでしょう。なまじ知恵と体力がある分、このタイプの赤ちゃん返りは年齢が上の子ほど大変かもしれません。
極度に甘えてくる
赤ちゃん返りという言葉のとおり、「まるで赤ちゃんのようにママに甘える」ようになる子もいます。とっくに卒乳しているのにおっぱいを飲みたがったり、抱っこをせがんだり、「下の子と同じように扱ってもらいたがる」のが特徴です。
ママから離れることを嫌がり、友だちと遊ばせてもママのそばにぴったりくっついて離れません。要求に応えてもらえないと、赤ちゃんに嫉妬して意地悪をしてしまうこともあるでしょう。
夜泣きやおねしょをする
ママの体力を削るという点で厄介なのが、「夜泣き」や「おねしょ」かもしれません。妊娠中や産後間もなくは、ママにとっても大変な期間です。夜中の授乳を終えたと思っても、隣で上の子がギャン泣きしていれば下の子も目を覚ましてしまうでしょう。
とはいえ、上の子が寝付くまで下の子を泣かせておくのもつらいものです。すでにオムツを卒業している場合、おもらし対策のためにオムツを復活させるかどうか迷う人も多いでしょう。
いつからいつまで続くの?
上の子の赤ちゃん返りが激しいほど、まるで双子を産んだかのように子どものお世話だけに追われる毎日が続きます。
この慌ただしい生活は、いったいいつまで続くのでしょうか?赤ちゃん返りをしやすい子どもの年齢と、落ち着くまでの期間について確認しましょう。
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2歳から3歳に多く見られる
一般的に、赤ちゃん返りは「2〜3歳」の子どもに多く見られるといわれています。このくらいの年齢はママと自分が世界の中心ですから、赤ちゃんを邪魔者とみなしてしまうのかもしれません。
ただし、この年齢に多いのは「2〜3学年差のきょうだいが多いから」という理由も考えられます。4~5歳になっても赤ちゃん返りする子はたくさんいるうえ、小学生で赤ちゃん返りをする子も決して珍しくはないのです。
終わりは個人差が大きい
赤ちゃん返りは「半年以内」、次いで「1年以内」に落ち着いたというケースが多いようです。しかし継続期間については個人差が大きく、「1カ月でおさまった」という子や逆に「1年以上続いた」という子もいます。
赤ちゃん返りは、「愛着のある対象を独占したい」という心理からくるものです。情緒が健全に発達している証拠のため、長い目で見守ってあげるとよいでしょう。
赤ちゃん返りへの上手な対応法
赤ちゃん返りは子どもの不安感の表れで、厳しくしかるのはむしろ逆効果となりかねません。最後に、子どもに愛情を伝えるための、みっつの対応方法をお伝えします。
上の子と2人だけの時間をつくる
もし、環境が許せば、下の子を預けて「ママは自分のことも大事にしてくれている」と実感できる時間をつくってあげましょう。
1日のうち、ほんの少しの時間だけでも構いません。「下の子のお世話の合間に」ではなく、「上の子と過ごすために下の子に我慢してもらう時間」をつくるのです。
授乳時間が開くようになったら、下の子を預けて2人だけで公園に出かけてみてはいかがでしょうか?下の子から離れることで、ママ自身の心にもゆとりが生まれるでしょう。
できるだけ要求に応えてあげる
赤ちゃん返りが考えられる時期には、できるだけ要求に応えてあげることが大切です。「どこまで甘えを許してくれるか」で、子どもは無意識にママの愛情を測ろうとしています。ここでいう甘えとは、抱っこや話を聞くなどの「情緒的な触れ合い」のことです。
もし今やろうとしていることが5分後にやっても構わないものなら、いったん手を止めて上の子と向き合ってあげましょう。ちょっとした行動が、心の土台となる「自己肯定感」を高めます。
できるだけ甘えを受け入れ、「どんなあなたでも大好き」と子どもの存在そのものが大切だと表現してあげましょう。
気持ちを言葉で伝える
子どもはいつも、大好きなママからの優しい笑顔と言葉を期待しています。声かけだけではなく、頭をなでてあげたりハグしてあげたりなど「スキンシップ」も一緒に行うとより効果的です。
お手伝いや下の子のお世話をしてくれたら「頑張ってくれたんだね、ありがとう!」と、その都度お礼を言ってあげましょう。
さみしそうだったり、不安げにしていたりするときは、「あなたはママの一番大切な宝物だよ」と抱きしめてあげます。きっと丸い頰を上気させ、照れたようなかわいい笑顔を見せてくれるでしょう。
まとめ
上の子の赤ちゃん返りに「毎日がしんどい…」と感じているママも多いかもしれません。しかし、きょうだいを持った上の子は「ママの愛情が奪われてしまう」といった不安を抱えるものです。表面に出る程度は違っても、ほとんどの子は負担を感じていると考えられます。
ママが何よりも大切にすべきことは、上の子への愛情を分かりやすく伝えることです。やがて気持ちに折り合いをつけ、ママと一緒に下の子をかわいがるようになってくれるでしょう。