「『家庭内別居』にこれといった定義はありませんが、一般的に、夫婦が不仲ながらも一緒に暮らしている状態を指します。必要最低限の会話しかしない、互いに干渉しないルームシェアのような状態ともいえます」(岡野さん 以下同)
本来ならば、同居する相手に対して不快な思いをするのは精神衛生上、一番悪影響を及ぼす。それでも、経済的な理由や世間体などの諸事情で、どうしても別居・離婚ができない場合、家庭内別居というかたちをとることが多い。
たとえば、夫の職業柄「仮面夫婦」を演じることで対外的なメンツを保ちながら、家庭内別居をしている夫婦も少なくないという。
「家庭内別居を平和的に続けるコツは『あいさつをする』『ありがとう・ごめんね』を言うこと。同居人と割り切り、他人だからこそきちんと最低限のマナーや礼儀を守るべきです。他人のような心の距離がある一方で、身内同士と同様に感情的な態度をぶつけると、互いに不快感が増し、ストレスがたまります」
●家庭内別居は感情の“割り切り”が肝心
よく「家庭内別居なのでごはんも作らない」「洗濯も別々」という話を聞くが、これはあまり建設的ではないという。経済的な理由で離婚に踏み切れないならなおさらだ。お互いにできることを役割分担し「住まいの損得を割り切る」ことが重要だそう。
家庭内別居から、夫婦関係が再構築されることはあるのだろうか。
「家庭内別居から事態が好転することは少ないと考えましょう。ただ、上記のように互いに割りきって気持ちよく生活することを心がければ、お互いの心が変わる可能性もあるかもしれません」
また、子どもに関するトラブルや親の病気など、ほかの問題がきっかけとなって協力意識が芽生え、再構築するケースもあるという。
相手との距離が取りづらい家庭内別居。できるだけ暮らしやすくするためには、感情的な態度やふるまいは避け、互いを尊重することが大切だ。
(ノオト+北東由宇)