では、別れた夫と良い関係を築ける女性と、そうでない女性とは、どんな違いがあるのだろうか。そもそも別れた夫との「良い関係」ってどんなもの?
「日本ではまだ法制化されていませんが、アメリカなどには『フレンドリーペアレントルール』という考え方があります。これは、離婚時に親と子どもの面会交流に許容的な姿勢を持っているほうをその子の親権者・監護権者とするものです」
こう教えてくれたのは、行政書士東京よつ葉法務オフィス心理カウンセリングルーム代表の佐藤千恵さん。夫婦としてはうまくいかなくても、元夫婦としての感情を切り離し、子どもの幸せのために一定の信頼関係を築くことが求められる。
●元夫と円満な関係を築くには、相手への尊敬の気持ちが必須
「実際、別れた後に互いにほんの少しでも愛情や友情があるほうが、離婚後もうまくいくと考えられていますよ」
でも、互いにほんの少しでも愛情や友情があるなら、そもそも別れていない気もするけど…。具体的にどんなケースなのだろうか。
「たとえば、夫婦としての愛情はなくなっても、別れるときに『大丈夫? この養育費でやっていける?』と心配したり、『できるだけ子どもに面会させてあげたいから、あなたも協力してね』と言ったり、お互いを『大事な子どもにとっても父あるいは母だから』と冷静に考えることができることです」
理由があって離婚しているわけだから、もう会いたくない、関わりを持ちたくないという気持ちがあるのは自然なこと。
だが、暴力を振るうなどの大きな問題がない限り、子どもの成長にとって父親と面会を持つことは良い面があるため、それを認識し、「父母としての信頼」を持てる人は、元夫とも良い関係を築けるのではないかと佐藤さんはいう。
「ただし、良い関係を築くためには、相手への尊敬や尊重が必須です。それは、支配や暴力とは対極にあるものです」
互いに大人になり、自分の感情は切り離して「子どものため」を考えられること。父と母として尊重しあえることが、離婚後の二人の関係にも大切なのだ。
(田幸和歌子+ノオト)