「子どもは大人と違いまだ成長段階なので、食事制限などの偏った無理なダイエットは決してさせてはいけません。極端に食事量を減らしてしまいますと、お子さんもつらいですし、栄養のバランスが偏りきちんとした成長に影響を及ぼしかねません。また、筋肉量にも影響が出てしまいかえってリバウンドしやすい体になってしまいます。大事なことは、バランスのとれた食事と規則正しい生活、そして適度な運動を取り入れること。そんな日々の心がけが肥満予防につながるのです」
そう話すのは、やまざきこどもクリニック・院長の山崎公恵先生。さらに、すでに肥満傾向にある子の場合も、日々のちょっとした心がけと工夫で改善につながるという。
「肥満傾向にあるお子さんの場合は、まず過食をさせないことですよね。そのためには、絶対に手の届くところにお菓子やジュースを置かない。おやつの時間と量はきちんと決める。普段の飲み物をジュースからお茶にかえるだけでもかなり違ってきます」
また、食事の際の食べ方を工夫をするだけでもかなりの改善効果があるそう。
「まず、肥満の子に多いのが早食いです。ゆっくりよく噛んで食べることや、テレビを観ながらご飯をかき込むのではなく、会話を楽しみながら食べるのもいいでしょう。そのほかにもおすすめなのが、食事の順番をかえることです。先に具だくさんのお味噌汁やサラダなどを食べさせてお腹をふくらませてから、メインディッシュを食べさせると、過食になることをかなり防ぐことができます。あとは、脂質が蓄積されやすい夜食を控えることも重要ですね」
●運動は楽しんで続けられるものを!
日々取り入れる適度な運動についても、無理なく続けられるものであることがポイントだと、山崎先生は話します。
「どうしても、親御さんとしては知識が先行してしまって早く効果がでる運動をさせたいと思ってしまいがちですが、続かなければ効果は出ません。運動については、“コレをしなさい!”ではなく、お子さんが好きで楽しんで続けられるものをさせてあげてください。運動嫌いのお子さんの場合でも、例えば万歩計をつけさせてゲーム感覚にするだけで、“今日は5000歩も歩けたよ!”なんて楽しんでやってくれる場合もあります。また、さりげなく家のお手伝いをいろいろさせたり、一緒に買い物に連れ出すなど、生活のなかでできることはたくさんあります。なるべくじっとしない生活を心がけましょう」
肥満の改善のためには、何より家族の協力は不可欠。ぜひ、一緒にダイエットするくらいのつもりで、お子さんを肥満から守ってあげましょう。
(構成・文/横田裕美子)