批判されることや失敗すること、笑われることを恐れ、「普通」であろうとする親が、子どもを「普通」の枠に押し込めようとして追い詰めてしまうそうだ。
とはいえ、日本人の場合、幼い頃から「普通」であること、「周りと同じ」であることを求められることも多いのが事実。どういった点が問題なのだろうか?
「限りなく普通である場合は、子どもは追い詰められないと思います。気をつけなければいけないのは、『普通であろうとする』ことが、強迫観念になっている場合です」
こう指摘するのは、日本心理教育コンサルティング代表・櫻井勝彦先生。
人間は本来、「これをやりたい・食べたい」など、行動の基準が自分の気持ちにあるときは、達成したときの満足感が高いそう。
「ところが、『みんながやっているから』『そうしないと笑われる』『人に〇〇だと思われる』といったことが行動の基準になると、自分がなくなり、終始自分が周りの人にどう見られているのか気になってしまいます。つまり、常に怯えた気持ちになるのです」(櫻井先生 以下同)
さらに、自分を持てないと、例えば「Aさんは、〇と言う」「Bさんは△と言う」など、異なる意見があるときに、自分の行動の軸がないため、気持ちがグラグラしてしまい、空気を読むことで心が疲弊することも多いそうだ。
●「周り」がどうではなく、「自分」がどうしたいかを考える
「さらに問題なのは、『人にどう思われるか』『みんながそうだから』という基準で、子どもに普通であることを強要する親は、親自身が、周りの目ばかり気になってしまう人だということです」
食べるものも、やることも、「周りがそうしているから」。そうした自分の軸を持たない親のもとで育つと、子どももそうなるリスクは高いそう。
「自分が自分の人生をちゃんと生きているかどうか。人の気持ちを考えるのも大切なことですが、輝いている人、幸せな人は、何より『自分のやりたいことをやっている人』です」
子どもが自分から「~したい」と強い気持ちを持てたときは、それが何であれ、大人から見ればくだらないことであったとしても、応援してみる。そうすることで、子どもも自分も一緒に「自分の軸」を考える良いチャンスになるかも。
(田幸和歌子+ノオト)