●固定費の削減を真っ先に実行
「節約と聞くと支出を抑えることを真っ先に思いつくものです。もちろん大切ですが、やり方があります。家計の固定費をどう削るかというのが重要です」とは、これまで1万世帯以上の家計を“診断”してきたファイナンシャルプランナーの藤川太さん。
「たとえば、通信費などのプランやオプション。最初に契約した時のまま放置していないでしょうか? これも無駄な固定費。定期的に見直し、不要なものがあればカットするべきです。改めて家計の支出を洗い出してみると、削れる固定費はじつはたくさんあるはず。貯蓄が上手な人は、それを直感的に分かっているため、固定費の比較検討を怠らない傾向にありますね」(藤川さん、以下同)
●小遣いを削るのはNG?
では、家計支出のなかで、特に固定費の減額が期待できるのはどんな費目なんでしょうか?
「特に大きいのは住居費、自動車関連費、保険、教育費、水道光熱費、通信費などですね。これらは自動で引き落としされることが多く、とくに下げようという意識を持ちにくいのですが、100円単位の固定費でも、こまめに見直していくことが大事です。
逆に、夫婦のやりくり費、いわゆる『小遣い』は、できるだけ削らない方がいいでしょう。お金を貯めようとすると、真っ先に小遣いをカットすることを思い浮かべる人が多いのですが、やりくり費の削減は、他の何よりも『生活レベルの低下』を実感させてしまいます。お昼のランチが外食からカップラーメンになれば、人は嫌でも生活の苦しさを実感してしまうでしょう」
そうなると、家計改善策であるはずの節約が苦痛になり、「お金を貯めて豊かになろう」という気持ちにブレーキをかけてしまうと藤川さんは指摘します。
●節約を習慣化させることが大切
では、節約にあたって大事な心構えなどはあるのでしょうか?
「大事なのは節約を習慣化させること。最初のうちは面倒だと思うようなことも、長く続けると習慣になります。普通は節約のために努力をして終わりなんですが、長期的な貯蓄を見据え、逆算してお金を貯めるという意識があれば、節約も一時的なものにならずにしっかり続けていけるはずです。
また、一般的なビジネスパーソンでも確定申告をすることをオススメします。場合によっては、ふるさと納税や医療費などの税金控除も受けられるので、会社任せにせず個人でできる税金控除もしっかりとおさえておくことで、結果的に家計の助けとなります」
細かいところまで収支を見直すことは、これからやってくる厳しい老後の家計を運営する訓練にもなりそう。老後に貧しい思いをしないためにも、できるだけ早く気づくことが大切かもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)
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