初心者でも元が取れる“お得”な便利野菜5選

第94回 日常消費財の徹底比較 いいモノ買い隊
野菜作りは、自分で育てること自体に金銭には代えがたい価値がある。なんて思っていても、始めた以上は得をしたいと考えてしまうのが人の性というもの。そこで、家庭園芸にくわしい「サカタのタネ」広報宣伝部の藤田杏奈さんに“お得”な気分になれる“リアル節約”便利野菜を5つ選んでいただきました。

※育てやすさや栽培時期については、代表的な品種を温暖地で育てた場合を想定した目安。また、選んだ5品目については、ガーデンレタスミックスを除き、初心者は種よりも苗から始めるのがオススメです。

摘み取って使える便利すぎる葉物野菜「ガーデンレタスミックス」

様々な色や形が楽しめる「ガーデンレタスミックス」
様々な色や形が楽しめる「ガーデンレタスミックス」

葉物野菜は気象、天候によって値段が高くなりがち。また、安い時に多めに買っても保存があまり効かないという難点があります。そこでおすすめなのが、数種類のレタスの種がミックスされている「ガーデンレタスミックス」です。

「サラダの材料や付け合わせとして重宝するガーデンレタスミックスは必要な分だけ摘み取りながら収穫できるので、効率よく長く楽しめます。大きく育てないのであれば、種まきから約1ヶ月で収穫できるのも魅力。作れる時期も長いので、種の使用期限と保存方法に注意しながら時期をずらしてまけば、さらに長く収穫できますよ」(藤田さん)

<ココが“お得”>
・間引きしたもの、若取りしたものも「ベビーリーフ」として無駄なく使える
・少ない土でも栽培でき、水抜き穴を開けたペットボトルなどでも栽培可能

<時期>
(ベビーリーフとして収穫する場合)まきどき3月上旬〜6月下旬、8月中旬〜10月下旬が適期。30〜50日で収穫。(大株にして収穫する場合)まきどき2月下旬〜5月上旬、もしくは9月上旬〜10月下旬に種まきすると50〜90日で収穫可能

常備野菜が身近で実っていることの便利さがすごい「ミニトマト」

スーパーなどでもよく見かけるプラム形のミニトマト「アイコ」。病気に強く、たくさん収穫できる。
スーパーなどでもよく見かけるプラム形のミニトマト「アイコ」。病気に強く、たくさん収穫できる。

栄養面もさることながら、料理の彩りとしても欠かせないトマト。初心者は中玉、大玉トマトに比べて育てやすいミニトマトから始めてみるのがオススメのようです。

「ミニトマトはお弁当などのちょっと使いにも便利で、ベランダにあるととても重宝します。たくさん収穫する場合は水や肥料を適切な量だけあげることと、わき芽かきなどの作業をしっかりすること。食べきれないほど取れたらコンポートやトマトカレー、ドライトマトなどにすると無駄なく使えます」(同)

<ココが“お得”>
・手に入りにくい、枝についた状態で熟した「樹なりトマト」が簡単に手に入る
・一度の収穫で終わらず、適切な手入れで長期間の収穫が見込める

<栽培時期の目安>
(苗)植え付け 4〜6月。収穫6〜10月

コスパ◎。イタリア料理に欠かせない「バジル」

「バジル」はトマト料理と相性が良いので、せっかくなら両方植えてみたい
「バジル」はトマト料理と相性が良いので、せっかくなら両方植えてみたい

イタリア料理に欠かせないバジル。乾燥したものに比べ、香りも段違いに良い生のものは少量パックでも200円くらいというなかなかの“ゼイタク品”。しかし、そんなバジルも育てにくいということはなく、むしろ初心者でも簡単に育てられるようです。

「バジルは水切れにさえ注意すれば、とても丈夫で育てやすいハーブです。摘芯(てっぺんの方の芽を摘み取る)をして、わき芽を伸ばしていくと、さらにたくさん収穫できます。また、葉が成長を止めて硬くなってしまわないよう、蕾がついたらこまめに摘み取ることも大切です。たくさんとれすぎて余った場合は、ジェノベーゼのソースにするといいですね。その際、冷凍保存をするならチーズが冷凍焼けを起こすため、チーズを入れないレシピにしたほうが良いでしょう」(同)

<ココが“お得”>
・必要なときに必要な分だけ、新鮮なものが手に入り無駄がない
・スーパーで購入すると200円前後する生のバジルが、同じ程度の値段の苗から何度もとれる

<栽培時期の目安>
種まきは4中旬〜6月下旬、収穫は6月中旬〜10月中旬
植え付けは4月上旬~5月下旬

料理のアクセント、ちょっと使いに便利な「大葉(シソ)」

摘芯をうまく行うことで「大葉」は収穫量が増える
摘芯をうまく行うことで「大葉」は収穫量が増える

和のハーブ「大葉」の特徴的な香りと美しい葉姿は、料理を大いに引きたててくれます。しかし、スーパーなどでは大体10枚単位で売られており、なかなか一度で使い切ることはなく無駄にすることもありがち。そんな大葉も簡単に栽培できるようです。

「大葉は、とても丈夫で初心者にも育てやすい野菜です。一度に大量に使うよりも、さまざまな料理でちょっとずつ使う機会が多いので、家で育てておくと切らしてしまう心配もなく大変重宝します。こちらも順次摘芯をして、わき芽を成長させていきます。花や実も食用として利用できますが、葉を長く利用したい場合は蕾ができたそばから摘み取ってしまう必要があります」(同)

<ココが“お得”>
・必要なときに必要な分だけ、新鮮なものが手に入り無駄がない

<栽培時期の目安>
蒔きどき 4月中旬〜6月中旬。収穫6月中旬〜10月初旬
植え付け:5月上旬~7月中旬

できた実までもが無駄なく使える 「パクチー」

「サラサラ細葉パクチー」は香りがマイルドで、歯ざわりもよい種類
「サラサラ細葉パクチー」は香りがマイルドで、歯ざわりもよい種類

シャンツァイ(香菜)とも呼ばれるパクチーは、タイ料理、中華料理をはじめアジア料理には欠かせない野菜。好き嫌いが分かれる存在でもありますが、大量に使いたいパクチーマニアはもちろん、ちょっとのアクセント使い用としても一度は挑戦してみて欲しいところ。

「最近、なにかと話題のパクチーは半日陰でも十分育つのでベランダ栽培にも向いている野菜です。ただし、湿った土を好むので水切れには注意してください。一株まるごと収穫するのもいいですが、大きく育った外葉から順次収穫していけば長く楽しむことができます。なお、気温が上がる春に植えることもできますが、温暖地であれば、翌夏に花が咲いて葉が硬くなってしまうまで、秋、冬、春と長い期間収穫できる秋植えがオススメです」(同)

<ココが“お得”>
・葉だけでなく、実を乾燥させるとスパイスとして使われる『コリアンダー』になり、最後まで無駄がない

<栽培時期の目安>
まき時:4月中旬~8月下旬、9月中旬~10月中旬
植え付け4〜6月、収穫6〜11月。または9〜10月植え付け、11〜翌4月収穫(11月以降は霜よけなどが必要)

以上5つが、今回紹介する“お得”な気分になれる野菜5選でした。ちなみに、実際に栽培を始めるとなれば種や苗以外にも鉢やプランター、用土と揃える必要があり、初期投資の回収が遠のく心配(?)も生まれてくるものですが、サカタのタネでは土と簡易な容器がセットになった「袋で育てるはじめてセット」と少量の種のシリーズ「スピーディベジタブル」を販売しており、全部込みで500円以下で家庭菜園を始められます。同社のタネや苗を購入して育てた場合は、お客様相談室が栽培上のアドバイスやご相談に乗ってくれるとのことですので安心して始められそう。

みなさんもこれを機に“お得”な栽培ライフをはじめてみてはいかが?

(文・宇都宮雅之)

「スピーディベジタブル」

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

<取材協力>

藤田杏奈
サカタのタネ
サカタのタネ 広報宣伝部。広報業務に従事しつつ、週末には趣味で畑に行って作業や見学行うを日々。自宅でもベランダ菜園を楽しむなど、充実した植物ライフを送る
サカタのタネ 広報宣伝部。広報業務に従事しつつ、週末には趣味で畑に行って作業や見学行うを日々。自宅でもベランダ菜園を楽しむなど、充実した植物ライフを送る