●発達障がいが疑われたらまず適切な診察を
椎名先生によると、きちんと診察を受けさせること、そして普段のちょっとした心掛け次第で乗り越えられるといいます。
「発達障がいは脳機能の問題なので、完治することはありませんが、ADHD(注意欠陥)など一部の症状については薬物療法も適用されます。まず発達障がいが疑われる場合は、専門家によるカウンセリングや精神科の受診を検討されるといいと思います。また、“障がい”という言葉が使われているものの、仕事以外の日常生活に大きく支障をきたすようなことは少ないです。ただ、コミュニケーションの難しさによって妻のストレスが溜まり、離婚にいたるケースもあるので、発達障がいについてしっかり理解した上で夫との関係を築いていくことが大事でしょう」(椎名先生、以下同)
●ちょっとした心掛けでお互いのストレスを減らす
では、発達障がいの夫とコミュニケーションを取るうえで、どのようなことが大事になるのでしょう?
「曖昧な表現が苦手なので、選択肢を2択とか消去法で提示します。たとえば、夕飯に何を食べたいか聞きたい場合、『今日夕飯どうする?』という質問ではなく、『今日の夕飯は和食にする?洋食にする?』など、できるだけ分かりやすい質問に落とし込むことで、相手のストレスを軽減させることができます」
感覚的な会話にはなかなか適応できないことから、論理的な言い方をすることでお互いの意思疎通も円滑になるそう。また、発達障がいだからこその良い面を活かすように接することも大事だといいます。
「頼み事をするとしっかりやり遂げてくれるのも、発達障がいの人の特徴です。細かく指示をすると正直に素直に手伝ってくれるので、面倒かもしれないですが、買い物を頼むときは具体的な商品名を伝えるとか、掃除をしてもらいたいときは、どこをどのように掃除してほしいというように伝えましょう」
発達障がいという名前だけ聞くと深刻に捉えがちですが、夫婦間のコミュニケーションのストレスを減らすには、妻の努力が必要になりそうです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)
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