●結婚後に「発達障がい」と診断されて…
結婚してから1年後に、仕事が上手く行かずにうつ状態に。さらにそこから4年くらいしてから発達障がいと診断されることになります。
「妻とは職場結婚だったのですが、その頃はバリバリと働いていたので、とくにおかしなところが分からなかったようです。中小企業から大企業へ転職して一気に発達障がいの特性が目立つようになりました。当時を振り返って妻からは『疲れきった感じだね』とは言われたものの、コミュニケーションは問題なかったです」(岩本さん、以下同)
寝汗がひどかったため、妻から内科を受診することをすすめられたところ、発達障がいだと診断された岩本さん。会社を休職することになったものの、変わらず妻が働いてくれていたので、プレッシャーがなく心強かったそう。一方で、夫婦間のコミュニケーションでは、当初苦労することも多かったのだとか。
「アスペルガーの離婚率が高いのは、気持ちが分からないと思われるからと言われます。まさに自分もそうで、『何でそんなことを言うんだろう』と、根拠が分からない。感情的な会話や接し方をされると、どのように反応して良いのか分からないことが多かったです。逆にこちらは理屈っぽい発言ばかりしてしまうので、意思疎通にかなりギャップがありました」
その後、妻の性格をシミュレーションする術を身につけたことで、意思疎通はかなり円滑に行えるようになったそう。
一方、パートナーにもコミュニケーションの仕方を工夫してもらうことが大事なのだといいます。
「感情的な発想や感覚を直感的に理解するのが苦手なので、論理的に会話してしまう性格をできるだけ理解してもらい、ギャップを埋める努力をしてもらえると、とても助かります」
一時は仕事で抱えたストレスが積み重なり、うつ状態にまで陥ったという岩本さんですが、現在は、大手外資系メーカーのデータアナリストとして活躍。社内のデータ分析で世界1位の実績も出しています。
自分の気持ちを理解してもらえない、想像力に欠ける発言をされることに不満を募らせるのではなく、大らかな気持ちで接してあげることが大事なのかもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)
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