一見すると、わが子の将来を思う親心とも受け取れるこれらの言葉。だが本当にその言葉は、「わが子のため」なのだろうか? そこに嘘やエゴがまったくないと言いきれるだろうか?
子育て心理学.協会代表理事にして育児相談のスペシャリストでもある東ちひろさんに聞いた。
「『わが子のために』『あなたのために』という言葉は、親の我です。一見、子どものためを考えて言っている感じがしますが、実は親が子どもにしてほしいと思うことを要求しています」(東さん 以下同)
そう、あたかも正論のように思える「わが子の幸せを思って」という美しい言葉の陰にあるのは、「親である私がそうしてほしいから」というエゴ。親自身が抱えている人生の不満や失望を、子どもにぶつけている場合がほとんどなのだ。
●親の「正しさ」を子どもに押し付けない
では親が「あなたのため」という言葉をつい使ってしまいがちなのはどんな場面なのだろう?
「ほとんどが勉強、習いごとの場です。とくに小学校以降になると、親の最大の関心事は勉強に。そうなったときに『勉強はするもの!』『私立のいい学校に行かないと駄目になる』という親の価値観を強引に押し付けるのはNGです。親の“正しさ”を教えても、子どもはやる気を出しません」
●大切なのは、子の自己肯定感を高めること
大切なのは親が正しいと信じる価値観の押し付けではなく、「子どもの自己肯定感を高める」ことなのだそう。
「環境さえ整えれば、優秀ないい子が育つわけではありません。大切なのは、その子の“心の土台”をしっかり作ってあげること。つまり、子どもが幼いうちに、その子の自己肯定感を高めてあげることです」
では子の自己肯定感を高めるためには、親は具体的にどうすればいいのだろう?
「ポイントは“共感”と“傾聴”の2つ。『宿題はしたの?』『早く寝なさい』とあれこれ指示や命令をするよりも、きちんと子どもの話に共感して耳を傾けてあげましょう。話を肯定的に聞いてもらえると、子どもの自己肯定感が高まります。勉強に自発的に取り組むようになるのはもちろん、周囲に心が優しい友達も自然に増えてきます」
●子の良い面をほめて伸ばせば、社会適応力が育つ
また、親自身の普段の振る舞いも重要なのだという。
「子どもの良い面をちゃんと見つけて、ほめて伸ばしてあげるのは親の役割。親自身も、普段から物ごとの良い面を常に見るように心がけましょう。そうした日常の積み重ね次第で、一流幼稚園に通わせなくてもちゃんと社会的な適応力が高い子に育ちます」
正しさを押し付けられてばかりでは、子どもも息苦しくなってしまうもの。親も子も、子育てを通じてそれぞれが成長していこう。
(阿部花恵+ノオト)