「摂食障害は、食行動において命に危険が及ぶ可能性のある精神疾患の一種のこと。症状は拒食症や過食症などのタイプによっても、患者さんによってもさまざまに異なります」(福田先生 以下同)
もともと摂食障害は豊かな国に生まれやすい傾向があるといわれ、欧米から日本、さらに新興国などでも増えてきているそう。
「患者さんは約97%と圧倒的に女性が多く、中高生からが中心です。しかし最近は、小学5~6年生などの成長期の子にもじわじわ増えており、いちばん早い子では小1の子の親御さんのご相談もあります」
子どもに増えている理由は明らかになっていないそうだが、直接的な原因としては、陸上競技やフィギュアスケート、体操、バレエなど、体重を落とせば記録が伸びたり、上達したりするといわれることから陥るケースがあるそう。
「また、原因がわからない場合、よく探っていくと、『先生と合わない』『友だちとトラブった』『親しい子に裏切られた』などの人間関係から起こっていることがあります。また、いわゆる『問題ない子』のケースもあるのです」
●「問題のない子」が摂食障害になる危険性も
「問題ない子」が摂食障害に陥るのはなぜなのか。
「学校で『申し分ない子』と言われたり、家庭でも何も問題なく見えたりする子は、問題を起こさないよう過剰に物ごとに適応し、無意識に窮屈さやストレスを抱えている可能性があります」
また、家庭のなかで「この子は大丈夫」と思われ、ほかの子にばかり親の目がいっているケースもあるそう。
ところで、拒食症になる子、過食症になる子の違いはあるのだろうか?
「かつては拒食症の時期を経験し、過食症に転じる人が多かったのですが、最近はそうでもなく、単なるストレス食いに見えるところから過食症に陥っているケースもあります」
また、拒食症と過食症とは正反対に見えて、どちらも「太る=悪」という思いが非常に強いこと、自己評価が非常に低いことなど、心のなかはまったく一緒だそう。
ちなみに、摂食障害は本人が隠そうとすることもあり、親がなかなか気づかないこともあるそう。
そのため、日頃から子どもの様子をよく見て、できるだけ会話をして、心や体の急激な変化を見逃さないよう注意したいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)