●子どもにとって学校は人生のすべて
「転校を決断するにあたって、親はしっかりとした心構えを持つべき」と話すのは、子育て本作家の立石美津子さん。
「ほとんどの親は、学校は行くべきものという固定観念があって、1日でも早く学校に行けるようになってほしいと願うものです。でもそこに行けない状況に陥り、一番焦っているのは子ども自身です。その苦しみを親が理解してやらないと、自ら命を絶つという最悪の結果も起こります。大人からみれば小さい悩みに思えるかもしれません。でも、子どもにとって朝8時から夕方3時ぐらいまで長い時間を過ごす学校が苦痛というのは深刻な問題。生きているのがつらくなってもおかしくありません」
学校は、子どもにとって人生のすべてといっていいほどの場所。そこに子どもが拒否反応を示している以上、無理やり行かせるのは確かに酷かもしれません。
●不登校を乗り越えることが正しいわけじゃない
しかし、なかには子どもに逆境を乗り越えるためにも、簡単に転校を許してはいけないと考えるママもいます。
「忍耐力はスポーツをしたり習い事をしたり色々なところでつけることができます。嫌な学校へ行かせることで、逆境に耐える力を付けさせるという考えは間違っていると思います。本人が本当に苦痛を感じているのであれば、転校するのもよい選択だと思います」
“学校は行くべきもの”という型にはまった考えが、学校に居場所がなく不登校になっている子を更に追い詰めると立石さん。
「子どもを守ってあげられるのは親だけなので、世間体や親同士の人間関係は二の次、三の次です。子どもが学校に楽しく通うことだけを考えるべきです。もし転校しても、不登校になってしまう、学校に行きたがらないのであれば、フリースクールや自宅学習だってあります。悲観するのではなく、子どもがより輝くフィールドを探すんだと前向きに考えるようにしましょう」
子どもが学校を嫌がっているときは、無理して通わせるのではなく、これからどうすれば一番幸せになるのか親子でじっくり話し合うスタンスを大切にするべきなのかもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)