「学級崩壊は非常に広がっていて、各小学校1~2クラスは崩壊しています。この前も6年生の学級を見てきましたが、授業中に先生ひとりだけがしゃべっていて、ほとんどの生徒が聞いていない。教室の後ろのほうでは生徒が堂々とイヤフォンで音楽を聴いていたり、トランプしていたり、マンガを読んでいたり…まさに驚くべき状況でした。低学年でも、授業を聞かず騒がしい、立ち歩く、勝手に教室から出ていく…といった状況がみられます」
マンガでもドラマでもなく、これが現実だという。いったい、なぜこんな状況が起こってしまうのか? 低学年と高学年でもまた違ってくるという。
「低学年の場合は、各々がいろんなこと言ったり、わがまま言ったり、
“かまってほしい子”がいっぱいいるんです。先生がそれを注意していくと、“先生はあの子ばっかり可愛がる。あの子ばっかりひいきする”あるいは、“悪さをすると関わってくれるから、僕たちも悪さすればいいんだ”みたいな感じで連鎖的に広がって結果的に崩壊していくという感じです」
高学年の場合は、学びへのストレスや、大人たちのふりかざす“正論”への反発が大きいそう。
「高学年になってくると、例えば東京都では約8割は私立受験をする状況なので、塾に行っているお子さんがほとんど。つまり、学校の勉強はわかっているのでおもしろくない。だから真面目に聞こうとしない。しかも、今の子は絶えず詰め込まれ、競争させられていて、本来学ぶことが生活に役立つことだという実感もないんです。さらに、教師たちは子どもたちの言い分は一切聞かず、一方的なウソ臭い正論ばかりをぶつけてきてくるので、どんどんストレスが溜まって荒れてしまうんです」
増田先生は、多くの学級崩壊に立ち合い、どの学校にも共通した生徒たちの叫びが以下の4つだったという。
1)僕たちのことをまっとうに扱ってほしい。
2)僕たちの言い分をちゃんと聞いてほしい
3)僕たちのことを好きになってほしい
4)もっと勉強がわかるように教えてほしい
「もっと子どもの声を聞く学校にならなきゃいけないんです。学級崩壊しているクラスでも、2カ月くらい子どもたちの話を、本音を聞き続けてあげると変わるんですよ!」
では、どう改善していったらいいのだろうか?
「学校としては、私のような第3者を入れて学級を分析し、荒れている原因を突き止めて改善方法をみつけていくこと。親御さんにできることは、担任に“子どもたちの話を聞いてあげてください!”と、要求することですね。自分の子どもだけじゃなく、荒れている子どもたちも本当はみんな先生のことが好きで、先生に話を聞いてほしいと思っている…と、伝えるんです。あくまでも一方的に先生を責めるのではなく、お願いするカタチで良好な関係を保ってください。きっと変わってくるハズです!」
荒れるのには原因がある。大人たちがしっかり子どもと向き合い、その原因を取り除いてやりさえすれば、子どもたちの目は輝きを取り戻すに違いない。
(構成・文/横田裕美子)