交通事故の被害者が損しないために知っておきたい6つのこと

交通事故の被害者が損しないために知っておきたい6つのこと

3、交通事故後の被害者がとるべき治療の流れ

(1)すぐに病院へ

交通事故で怪我をしたと思ったら、加害者の任意保険会社に連絡して、すぐに病院に行くようにしてください。事故後かなり時間が経ってから病院に行った場合、保険会社から、事故と症状との関連性について疑いの目を向けられることがあります。

加害者の保険会社とすぐ連絡がつかない場合でも、病院にはすぐに行くべきです。その場合、治療費をいったん被害者が立て替えたときには、病院から領収書をもらって保管しておく必要があります。

通常、いわゆる症状固定とされる時期までの治療費は、加害者の任意保険会社が病院に直接払ってくれます(症状固定については後述します。)。

また、警察に人身事故として取り扱ってもらうために、診断書を発行してもらうようにしましょう。

(2)労災や健康保険を使うことができる

勘違いしている病院もありますが、交通事故の治療であっても労災や健康保険を使うことはできます。細かい説明は省きますが、被害者側にも過失割合が認められる場合には、労災や健康保険を使った方が、最後に受け取る示談金額も多くなります。

(3)タクシーや個室利用の場合は診断書をもらう

保険会社には通院交通費の請求ができますが、交通費の算出は、原則として、自家用車や公共交通機関の利用を前提として行われます。また、入院費用も、原則として大部屋利用を前提として算出されることになります。タクシーでの通院や個室での入院費用は、それらを行う必要性が立証されなければ認められません。

したがって、タクシーや個室を利用する場合には、まず医師の判断を仰ぎ、それらを利用する必要がある旨の診断書を作成してもらうようにしましょう。

(4)保険会社のお金での治療は症状固定まで

治療により怪我が完治すればそれが最も良いのですが、残念ながら、ある時点から、治療を続けても症状が改善していかないということがあります。このような状態を「症状固定」といいます。症状固定以降であっても、労災や健康保険を利用しての治療はもちろんできますが、保険会社からの治療費の支払いは打ち切られることになります。

症状固定がどの時点か、ということについて、一番影響力を持っているのは、被害者の主治医です。保険会社から症状固定について持ちかけられた際には、医師と症状固定時期について話し合うことが必要です。

4、被害者が症状固定したら! 交通事故後の後遺障害等級認定のポイント

(1)症状が残ってしまったら後遺障害等級申請

怪我が完治せずに、痛み等の症状が残ったまま症状固定となってしまった場合、加害者の自賠責保険に対して後遺障害等級の申請をすることができます。この申請を行うことで、残存してしまった症状が後遺障害等級に該当するか否か、該当するのであれば何級何号に当たるのかを判断してもらうことができます。

(2)後遺障害等級が認定されれば示談金が増える

後遺障害等級が認定された場合、怪我をして通院したことに対する慰謝料とはまた別の、「後遺障害慰謝料」といわれる慰謝料を請求することができます。また、後遺障害残存による将来の収入減少に対する補償である「後遺障害逸失利益」というものも請求することができるようになります。つまり、後遺障害等級が認定されれば、示談金額は増えることになります。

症状固定を迎えても症状が残存していると感じる場合には、後遺障害等級の申請を検討しましょう。

(3)後遺障害診断書の作成をお願いする

後遺障害申請を行う場合、医師に「後遺障害診断書」を作成してもらう必要があります。これには、これまでの症状や検査結果、治療内容の総括、症状固定日、症状固定時の症状、症状の今後の推移見込み等を記載してもらうことになります。

(4)申請方法には2種類ある

後遺障害等級の申請方法には、後遺障害診断書作成から先の手続きを加害者の任意保険会社に任せる「事前認定」と、後遺障害診断書のほかに、これまでの診断書や画像等を自身で収集し、自身で直接自賠責保険に申請を行う「被害者請求」とがあります。

どちらの手続きをとるべきかですが、結論から言えば被害者請求をお勧めします。上でも述べたように、後遺障害等級が認定されると、示談金額が増えることになります。つまり、任意保険会社としては、後遺障害等級が認定されることは、支払わなければならないお金が増えることを意味します。任意保険会社は、一通りの資料を提出してくれるでしょうが、積極的に高い等級が認定されるために動いてくれるわけではありません。

被害者請求であれば、等級認定のために必要だと考えられる資料を提出することができます。自身で資料を収集するため、手間はかかりますが、被害者ご本人でも十分対応できるものです。また、法律事務所によっては、被害者請求の手続きを行ってくれるところもあります。

具体的な被害者請求の方法については、「交通事故に遭った際の自賠責の被害者請求について知っておきたいこと」をご参照ください。

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