交通事故の被害者が損しないために知っておきたい6つのこと

交通事故の被害者が損しないために知っておきたい6つのこと

5、交通事故で被害者になった方の示談交渉ポイントとは?

(1)示談をすると保険会社との付き合いは終わる

示談書にサインをすると、基本的には保険会社との付き合いは終わり、示談書に書かれた支払額以上の金額を請求することはできません。示談をする前に、その金額で示談をしてよいのか、きちんと確認しましょう。

(2)保険会社から提示される示談金額を確認する

通常、治療が終了したり、後遺障害の等級が認定された時点で、保険会社から慰謝料等の示談案が提示されます。

ですが、ここでの示談案は、任意保険会社の基準で算定されたものであることがほとんどです。

慰謝料には、任意保険会社の基準のほかに裁判所の基準というものがあり、裁判所基準の方が高額です。弁護士がお手伝いする場合は、この基準をもとに交渉を行います。

保険会社から示談案が提示された場合には、その内容と裁判所基準で算定した金額との間にどの程度開きがあるか確認しましょう。その金額が、示談交渉の「のびしろ」になります。

(3)自分でも示談金額を計算してみる

可能であれば、ご自身で示談金額を算定して、それを保険会社に提示すべきです。自分で算定してみれば、請求漏れのおそれは小さくなりますし、きちんと裁判所基準で算定した慰謝料を書面で提示すれば、それをベースに話を進めることができる可能性もあります。

具体的な裁判所基準での慰謝料の算定については、こちらの記事をご参照ください。

(4)示談する前に一度弁護士に相談する

以上のように交渉を行ってきたとしても、不安なときは示談の前に弁護士に相談されることをお勧めします。上でも述べましたが、示談をすると示談書に記載された額以上のお金を請求することはできません。このように示談は強力な効果を持ちますので、それを行う前に交通事故に詳しい弁護士に相談することは大切です。弁護士費用特約を使用することでご自身の相談料のご負担なく相談できる場合や、相談は無料としている法律事務所もありますので、積極的に検討すべきでしょう。

また、上記に加え以下関連記事は、交通事故の被害者が保険に関して知っておきたい知識について解説しています。こちらの記事もあわせてご参考いただければとおもいます。

6、交通事故で被害者になった場合、損害賠償について裁判をした場合に有利に進めるポイント

(1)裁判をするかしないか

交通事故の損害賠償について、交渉で解決しない場合には、裁判等の他の手続きを行う必要があります。

ただし、裁判をすれば常にこちらの望む結論が得られるわけではないことに注意が必要です。

たとえば、示談金額が減額される1つの要素に、「既往症減額」というものがあります。これは、事故の前からもともと傷害が存在しており(既往症)、それによって事故による傷害の程度が大きくなっているような場合に、加害者の損害賠償額を減額するという理論で、加害者側から、賠償額を減らしてほしいという趣旨で主張されます。

この既往症減額は、交渉段階ではあまり主張されることはありませんが、裁判となると、主張されるケースが多くなります。裁判になると、加害者側も徹底的に賠償額を減らす要素を探すようになるためです。

このように、交渉段階では、加害者や保険会社が「目をつぶっている」部分がある可能性があります。裁判をするか否かを考える際には、裁判にした場合に予想される加害者側の主張を検討する必要があります。

(2)紛争処理センターを利用する

裁判となると時間がかかります。徹底的に争うとなった場合、年単位の時間がかかることもあります。もう少しスピーディーな手続きとして、公益財団法人紛争処理センターの和解斡旋手続を利用する方法もあります。交渉よりは時間がかかりますが、基本的には数カ月で解決することができ、また、裁判所基準の慰謝料を認めてもらえることも多いです。

(3)それでも裁判をする場合には

裁判では、結局、「被害者側の主張することが立証できるか否か」というところが決定的に重要です。そして、立証のためにはご本人の言葉だけでは弱く、できるだけ客観的な資料を用意する必要があります。過失割合が争点になるような場合は警察の実況見分調書を取り付けることは必須ですし、怪我の大きさを立証したい場合には医師の診断書やカルテが必要になるでしょう。これらの資料の中には、実況見分調書など、裁判をする前の時点、事故後治療中の時点から気をつけておかないと、適切に作成されないおそれのあるものもあります。

また、予想される相手方からの反論に対する主張を検討しておく必要もあります。

いずれにせよ、裁判をするかしないか、裁判をするとしてどのように進めていくのかということの判断は、被害者ご本人だけでは難しいことが多いでしょう。裁判となれば加害者側の保険会社もほぼ間違いなく弁護士を付けてきますから、こちらも弁護士へ相談すべきです。

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