平時のリスクは災害時にも(1) - 交通事故が増える原因を知って対策しよう

平時のリスクは災害時にも(1) - 交通事故が増える原因を知って対策しよう

夕暮れ時の事故防止。ドライバーにできること。

ドライバーも歩行者と同様に、まずは横断歩道に関するルールを遵守しなければいけません。横断歩道を横断しようとする、または横断している歩行者がいる場合には、歩行者が優先です。横断歩道は、歩行者が安全に横断するためのもの。ドライバーは歩行者の安全を図るために、横断歩道の手前で一時停止する必要があります。ちなみに、路面にひし形の「ダイヤマーク」が描かれているところでは、その先に横断歩道があるということです。
運転免許を取得してから時間が経つと、こういったことも忘れがちになりますが、ダイヤマークは「横断歩道または自転車横断帯あり」を意味する道路標識。このマークを見かけたら、その先には横断する人や自転車がいるかも知れません。注意して運転し、明らかに歩行者がいない場合を除いては、横断歩道の直前で確実に停止できるように、速度を落として運転しましょう。
特に夕暮れ時から夜間にかけては、周囲が見えにくくなるために、速度感覚が鈍り、速度超過になりやすくなるとともに、歩行者などの発見も遅れがちになります。少しでも早く歩行者などを発見できるように視線はできるだけ先の方に向けながら、速度は感覚に頼るのではなく、スピードメーターでチェックするようにしましょう。

秋から冬にかけての夕暮れ時は薄明時間が短く、みるみるうちに暗くなるからこそ、早めにヘッドライトを点灯することも大切です。人の目は、暗さの変化にはなかなか慣れません。「まだ明るいから」と思ったとしても、早めに点灯するようにしましょう。早めのヘッドライトの点灯は、視界を確保して歩行者や自転車などを早めに発見するだけでなく、自分の車の存在を他の歩行者や自転車などに知らせることにもつながります。

ヘッドライトのハイビーム(上向き)とロービーム(下向き)を使い分けることも、歩行者や自転車などを早く発見するためには効果的です。
ヘッドライトのロービームで照らすことができる距離は40mほどなのに対して、ハイビームでは約100m先まで照らすことができます。そのため、歩行者や自転車を遠くから見つけやすくなるのです。ただし、ハイビームは他の車両のドライバーの目をくらませてしまうこともあります。自動車や自転車などの対向車と行き違う時や、他の車のすぐ後ろを走行している時にはロービームにする配慮をしましょう。

蒸発したように歩行者などが見えなくなる「グレア現象」に注意

夜間、対向車とすれ違う際に、それぞれの車のヘッドライトが交錯するセンターライン付近にいる歩行者などが、蒸発したかのように、突然ドライバーから見えなくなる現象があります。それが、グレア現象(蒸発現象)です。さらに対向車のヘッドライトの光を直接目に受けると「眩惑」と言われる、なにも見えない状態になります。
また、雨が降ると、路面の雨水にライトの光が乱反射して、センターラインや停止線、横断歩道などの道路標識も見えなくなることがあります。このような現象が起こると、歩行者などの発見が遅れてしまうことや、自分の車線確認に気を取られて周囲への注意が散漫になることがあるため、信号機のない交差点や横断歩道では特に注意が必要です。

グレア現象(蒸発現象)を完全に防ぐことは難しいですが、対向車とすれ違う時にはヘッドライトをロービームにしたり、「グレア現象(蒸発現象)によって見えなくなっている歩行者がいるかもしれない」と危険を予測して、対処できるようなスピードで運転するなど、余裕を持った運転をすることで、事故のリスクを下げることはできます。
また、対向車のヘッドライトがまぶしいと感じたら、視線を少し左に移して、眩惑されるのを防ぎましょう。
歩行者や自転車に乗っている人たちも、「夜間の自動車はグレア現象などの錯覚によって自分たちのことが見えていない(道路状況を正確に認知することができない)可能性がある」ということを意識しながら行動することが大切です。

関連記事: