そんな夫に対し、「いつも怒っているから、もう諦めている」「すぐ怒る夫に疲れた」という声も少なくなく、ときには男性側からの意見として「怒るのには理由があるはず」という指摘もあるけれど…。
怒りっぽい男性は、いったいなぜよく怒るのだろうか。夫婦関係などの相談を多数受けてきた、行政書士東京よつ葉法務オフィス心理カウンセリングルーム代表の佐藤千恵さんに聞いた。
「『結婚前は普通にコミュニケーションをとっていたのに、結婚したらなぜかすぐ怒るようになった』というご相談は、カウンセリングでも非常に多いです。単に怒りっぽい人で、誰にでも怒るのなら、性格なのでしょうが、そうでない場合は別の問題がある可能性があります」(佐藤さん 以下同)
例えば、気をつけたいのは、「家のなかでだけすぐ怒る」「どこに怒りの地雷があるかわからない」「怒り方に一貫性がない」などの場合だそう。
「これらの場合には、『モラハラ』や、後にDVに発展する危険性もあります。特に、怒りが転じて、妻の人格否定にまで及ぶ場合には注意が必要です」
●怒りっぽい夫は自己愛、劣等感、独善性から怒りのスイッチが
そういった「怒り」は、どういう男性に多いの?
「ささいなことで怒る人は、外ではいい顔をしている人も多く、『妻だから怒っても良い』と思っている甘えと、八つ当たりの可能性は高いですね。自己愛の強い人や、劣等感の強い人が多いです」
また、「怒られるのは、妻に非があるからだ」「夫の言うことに妻が従うのは当然」などと考えている「独善性の強い人」「亭主関白な人」「封建的な人」「べき思考(~すべきと考えがち)の人」「白黒思考の人(グレーのことは認められず、白黒つけないといられない人)」にも多いそう。
「問題は、この手のタイプの場合、そもそも自分が怒っていることに気づいていない人が多いことです。自覚がないから、やめようがないのです」
女性の場合は「イライラしていて、つい子どもに当たってしまった」などという自分の感情の変化に気づきやすい。しかし、男性はもともと自分の感情に気づきにくいこと、女性ほど細やかな感情表現が上手でないことから、知らぬ間にイライラがたまり、突然ドカンといくことがあるそう。
自分の気持ちに鈍感で、なおかつ怒りっぽい夫には、本人が気づいていない感情の変化に先に妻が気づいてあげるのも、怒りに火をつけないひとつの方法かも。
(田幸和歌子+ノオト)