5、慰謝料を浮気相手から確実に獲得するための5条件
そもそも浮気相手へ慰謝料を請求するには、いくつかの要件を満たしておく必要があります。
確実に慰謝料を獲得するためにも、慰謝料請求の前に次の5つの条件を満たしているのか確認してみてください。
- 夫婦関係は破綻していないか
- 浮気相手は夫(妻)が既婚者であることを知っていたか
- 浮気の証拠はあるか
- 配偶者から慰謝料をすでにもらっていないか
- 不倫の事実を知ってから3年以上が経過していないか
(1)夫婦関係は破綻していないか
配偶者の浮気前から夫婦関係が破綻していた場合、浮気の慰謝料を請求することはできません。
なぜならば、法律上で守られている
- 夫婦の婚姻共同生活の平和を維持するための権利
は夫婦関係が破綻している時点で存在しないと考えられるからです。
そうなれば、浮気があなたの権利や利益を侵害したとは言えず、浮気相手に支払い義務はないとされます。
そのため、浮気相手が「夫婦関係は破綻していると相手(浮気した配偶者)から聞いていた」と反論するようなケースもあるでしょう。
しかし、法律上において夫婦関係が破綻していると判断される要素は次のような場合です。
- 長期の別居(凡そ5年以上)
- DVの横行
- 深刻な経済的な問題(借金等)
こうした客観的な要素が必要であり、
- 夫婦間の会話がなくなっていたこと
- 気持ちが離れていたこと
というような感情的な要素だけでは夫婦関係が破綻しているとは認められません。
(2)浮気相手は夫(妻)が既婚者であることを知っていたか
浮気の慰謝料を請求するには、相手の故意や過失が必要になります。
つまり、浮気相手は夫(妻)が既婚者であることを知っていたかどうかという点が大きなポイントになります。
夫(妻)が独身であると偽って浮気相手を積極的に騙していたような場合であれば、浮気相手に過失はないと考えられて慰謝料の支払い義務はないとされる可能性があります。
しかし、
- 既婚者であることを知って浮気をしていた場合
- 途中から既婚者であることを知っても浮気関係を継続していた場合
などでは「故意」が成立するため慰謝料の支払い義務が生じます。
浮気相手に慰謝料を請求した場合、「既婚者であることを知らなかった」と相手が主張するようなこともあるでしょう。
この場合、
- 本当に既婚者であることを知らなかったのか
- 注意を払えば既婚者であることを知り得る状況ではなかったのか
ということが争点になってきます。
既婚者であることを全く知り得ない状況だった場合には、支払い義務はないとされる可能性があります。
しかし、注意を払えば既婚者だと知ることができた場合には浮気相手に「過失」があったことになるため、知っていた時と同じように慰謝料の支払い義務が認められることになります。
(3)浮気の証拠はあるか
浮気を原因に慰謝料を請求する以上、浮気の証拠を揃えておく必要があります。
浮気の証拠がなければ「浮気関係ではない」と相手が主張して慰謝料の支払いを拒否する可能性があるからです。
また、裁判へ移行する場合にも証拠が必要になります。
そのため、浮気の慰謝料請求を行う前に証拠集めはしておかなければなりません。
浮気の証拠は、「肉体関係があった」ということが分かる物証です。
- ホテルに出入りしている写真
- 性行為の写真や動画
- 肉体関係のあることが分かるラインのメッセージ
などが証拠として挙げられます。
メッセージ内容やレシートなど複数の証拠を組み合わせることで証拠として認められることもあるため、できるだけ多くの証拠を集めるべきでしょう。
また、浮気の証拠集めと当時に相手の情報も集める必要があります。
弁護士に相談すれば必要な証拠や情報の集め方などのアドバイスも得られるため、証拠集めの段階から相談することをおすすめします。
(4)配偶者から慰謝料をすでにもらっていないか
配偶者からすでに慰謝料の全額の支払いがあったという場合、法律上あなたには浮気相手へ慰謝料を請求する権利はありません。
慰謝料は二重請求することができないからです。
浮気相手へ慰謝料請求することを配偶者が知った場合に、浮気相手を庇って配偶者が全額支払ってくることが予想されるようなケースでは、弁護士に相談・依頼して配偶者へ知られないように進めることをおすすめします。
(5)不倫の事実を知ってから3年以上が経過していないか
慰謝料の請求権には時効が存在します。
不倫の慰謝料の場合、不倫の事実及び不貞相手を知ってから3年が経過すれば時効が成立します。
時効が成立すれば、慰謝料を請求する権利は消失してしまいます。
ただし、現在も不倫が継続されているという場合であれば時効は進行しません。
そのため、不倫の事実を知ってから3年以上経っていたとしても、今も不倫関係が継続していれば慰謝料を請求することが可能です。
また、浮気相手の
- 氏名
- 住所
を知らないという場合にも請求権の時効は消滅していません。
不倫関係は終わっており、その事実を知ってから3年経過しているものの浮気相手の素性を全く知らないという場合には時効は消滅していないので慰謝料請求することができます。
まとめ
浮気の慰謝料を浮気相手だけに請求することはできますが、その場合には求償権の問題が生じます。
また、配偶者が浮気相手だけに請求することを知ってトラブルが大きく発展してしまうという可能性も考えられるでしょう。
トラブルを大きくせずにスムーズに示談を進めるためにも、まずは弁護士へご相談ください。
弁護士に相談・依頼することで、浮気相手だけに慰謝料請求することを実現できるだけではなく、有利な条件で問題を解決できる可能性が高まります。
精神的なサポートにもなるので、一人で抱え込まずに専門家である弁護士に相談してみましょう。
監修者:萩原 達也弁護士
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
- 荻原弁護士監修 :「離婚」記事一覧
- 荻原弁護士監修 :「労働問題」記事一覧
- 荻原弁護士監修 :「B型肝炎」記事一覧
- 荻原弁護士監修 :「刑事弁護」記事一覧
- 荻原弁護士監修 :「企業法務」記事一覧
- 荻原弁護士監修 :「遺産相続」記事一覧
- 荻原弁護士監修 :「アスベスト」記事一覧
配信: LEGAL MALL
関連記事: