別居しても扶養控除は受けられる!仕組みを分かりやすく解説

別居しても扶養控除は受けられる!仕組みを分かりやすく解説

3、別居した場合の扶養控除額を条件別に見てみよう

次に、扶養控除が適用される場合、具体的にどのくらいの税金控除が認められるのか、条件別の控除金額を見てみましょう。

(1)被扶養者が16歳〜18歳、24歳以上の場合|控除額38万円

被扶養者の年齢が16歳~18歳の場合と24歳以上の場合、控除金額は1人について38万円となります。たとえば子どもが高校生や24歳以上の妻を扶養している場合などには1人について38万円の控除を受けられます。住民税の控除は1人について33万円分です。

(2)被扶養者が19歳〜23歳の場合|控除額63万円

被扶養者の年齢が19歳~23歳の場合、控除額が上がって1人につき63万円となります。

この場合、住民税の控除額は45万円です。

(3)被扶養者が70歳以上の場合|同居していれば控除額58万円

被扶養者の年齢が70歳以上になると、同居している場合には扶養控除額が58万円となります。

この場合、住民税の控除額は45万円です。

(4)被扶養者が70歳以上の場合|別居していれば控除額48万円

被扶養者の年齢が70歳以上であり、別居している場合の控除額は48万円となります。

この場合の住民税の控除額は、38万円です。

4、別居の他の親族も扶養に入れるメリット~妻や子供だけでなく親など

(1)親を扶養に入れると節税できる

なるべく所得税・住民税を節税したいのであれば、妻や子どもだけではなく親も扶養に入れることをお勧めします。

親を扶養に入れると、上記の通り38万円~58万円の所得税扶養控除や住民税の控除を受けられて、税金が低くなるからです。

税金の扶養控除は同居を前提としないので、親と同居していなくても「2、扶養控除の適用条件」で記載した条件を満たす限り、扶養控除を適用できます。

(2)具体的な節税金額

親を扶養に入れるとどのくらい税金を節税できるのか、みてみましょう。

日本の所得税は累進課税であり、収入によって異なりますが、税率は5〜45%となっています。

また、その年の所得に応じて住民税もかかりますが、住民税の税率は、所得にかかわらず一律で10%です。

以上を前提に、親を扶養に入れる節税効果をご紹介します。

【例えば所得税率が20%の場合】

課税対象所得金額が330万円を超えて695万円以下の方の場合、所得税の税率は20%です。

この方が75歳以上の別居の親を1人扶養に入れると、単純に計算しますと、以下の通り、税金が低くなります。

所得税の減額

48万円×20%=96,000円

住民税の減額

38万円×10%=38,000円

所得税と住民税を合計すると、合計134,000円分の税金が低くなります。

所得が大きくなるほど所得税率が上がるので、親を扶養に入れることによる減税効果が高くなります。

(3)課税対象所得と所得税率について

なお、課税対象所得の金額と税率(・控除額)は以下の通りです。

親を扶養に入れるときの減税効果は、以下の表におけるケースごとの所得税率を使って計算できます。

ご自分の課税対象所得金額を知るには、給与所得者(サラリーマン)の場合は、「給与所得の源泉徴収票」をご確認ください。

これの「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額が、課税対象所得金額です。

● 課税対象所得金額と所得税率(控除額)の表

課税される所得金額(A) 税率(B) 控除額(C)
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

※所得税額の計算は、

課税される所得金額(A) × 税率(B) - 控除額(C) 

です。

「課税される所得金額」(A)とは、給与所得者であれば、給与の額面額から一定額(「給与所得控除」といって、決まった算式に基づき算出されるもの)を差し引き、さらに「所得控除」と呼ばれる「扶養控除」などの控除をした後の金額になります。

上の計算式からも、「扶養控除」は「課税される所得金額」を減らすことになることから、所得税額が減ることがお分かりになるでしょう。

住民税率については一律10%として計算しましょう。

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