別居しても扶養控除は受けられる!仕組みを分かりやすく解説

別居しても扶養控除は受けられる!仕組みを分かりやすく解説

5、別居している親を扶養に入れる際に注意すべきこと

節税のために親を扶養控除に入れるときには、以下のようなことに注意が必要です。

(1)他の兄弟が仕送りしていると扶養に入れられない

扶養控除が適用されるのは、ひとりの被扶養者につきひとりの納税者のみです。

そこで、親を扶養控除に入れようとしたとき、他の兄弟がすでに親を扶養に入れているならば、新たに扶養控除に入れることはできません。

この場合、所得の高い人が扶養控除を受ける方が税金の減額効果が高くなるので、所得の高い方が親を扶養に入れる方が、金額的なメリットは大きくなります。

ただし兄弟姉妹の場合、それぞれ独立して生計を立てていますから、所得の高い人に譲ることが必ずしも妥当であるとは言えません。後にしこりを残さないように、きちんと話し合って決めると良いでしょう。

(2)親族の中に自営業の人がいる

親や兄弟が自営業者の場合にも、注意が必要です。

自営業者には「専従者控除」という特別な控除が認められます。

専従者控除とは、親族を専従者として雇い入れていることにより、所得税の控除を受けられる制度です。

専従者控除を適用している場合には、別途扶養控除を適用することは認められません。

たとえば父母が健在で、父親が自営業を行っており母親を専従者としている場合などには、親を扶養に入れることは不可能です。

(3)扶養控除の重複

扶養控除を適用するためには、重複しないように注意が必要です。

たとえば父母が健在であり、母親が父親の扶養に入っている場合には、父親が主たる扶養者となるので、息子が母親の扶養者となることはできません。

たとえ息子が親へ仕送りをしていたとしても、扶養控除の適用が難しくなります。

6、別居している親族の扶養控除を受けるためには年末調整または確定申告が必要

最後に、扶養控除を受けるための手続きをご説明します。

扶養の制度には税制上の扶養控除と健康保険の扶養がありますが、これらの手続きは異なります。

(1)会社員が税制上の扶養控除を受ける方法

会社員が税制上の扶養控除を受ける手続きは、非常に簡単です。

扶養控除が適用される要件を整えて、会社で年末調整してもらう時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類を会社に提出するだけです。

このとき、親と別居していると、「生計を同一にしている事実」を証明するよう求められる可能性があります。

その場合には、仕送りしている証拠、たとえば振り込み送金の記録などを提示しましょう。

(2)年末調整されないなら確定申告する

自営業者などで、会社での年末調整を受けられないケースでは、確定申告によって扶養控除を適用してもらうことができます。

確定申告書の扶養控除の欄に被扶養者の氏名や生年月日、続柄などを書き入れて、控除を適用すると良いでしょう。

(3)健康保険の扶養を適用する方法

健康保険で親を扶養に入れるには、以下の書類を会社の担当部署に提出します。

①親と同居している場合

  • 世帯全員分の住民票
  • 親の課税(非課税)証明書

②親と別居している場合

  • 親の戸籍謄本(納税者との続柄がわかるもの)
  • 仕送りを証明する資料

健康保険の場合には、仕送りを証明する資料がないと、扶養を認めてもらえないことが多いです。

そこで、振り込み送金をするか、現金書留でお金を送り、控えを保管しておくと良いでしょう。

また、健康保険では被扶養者資格の再確認を、一定の期日に実施しています。

必要な書類が揃っていないと資格を取り消されることがあるので、資料はきちんと整理しておきましょう。

親が後期高齢者(75歳)に該当した場合は被扶養者資格を喪失しますので、こちらも注意してください。

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