特定理由離職者がもらえる失業保険の給付日数は?計算例も紹介

特定理由離職者がもらえる失業保険の給付日数は?計算例も紹介

5、特定理由離職者が受給できる失業保険はいくら?

特定理由離職者として失業保険を受給できる場合、金額はどれくらいになるのでしょうか。

(1)基本手当日額の計算方法

失業保険の基本手当の日額を計算するには、まず「賃金日額」を求め、その金額を後記の表に当てはめて割り出します。

賃金日額は、「退職直前の半年間における賃金の合計÷180日」で計算します(雇用保険法17条1項)。

「賃金」には、基本給や役職手当、通勤手当、家族手当など毎月決まって支払われるものだけでなく、残業代も含まれます。

ただし、賞与や慶弔見舞金のように臨時的なものは含まれません。

賃金日額に基づく失業手当の日額は、以下のとおりです。2020年3月1日以降、この表が適用されています。

引用元:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク|雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和 2 年 3月 1日から~

給付率が、「80%~50%」(60歳~64歳では「80%~45%」)と幅がある部分の計算方法は、賃金日額が低いほど80%に近づき、高いほど50%に近づきます。

(2)基本手当日額には上限・下限がある

基本手当日額には、上限・下限が設けられています。

上限額は上記の表にも記載されていますが、まとめ直すと以下のようになります。

 

     賃金日額の上限    

   基本手当日額の上限  

     29歳以下     

     13,630円     

      6,815円      

   30歳~44歳   

     15,140円     

      7,570円      

   45歳~59歳   

     16,660円     

      8,330円      

   60歳~64歳   

     15,890円     

      7,150円      

賃金日額の下限額は、2,500円とされています。

また基本手当日額の下限額は、2,000円とされています。

(3)実際の計算例

例を挙げて、特定理由離職者が実際にもらえる失業保険の金額を計算してみましょう。

【職業】契約社員

【退職理由】雇い止め

【年齢】32歳

【被保険者期間】6年

【月収賃金】27万円

  • 賃金日額:9,000円

賃金日額は「退職直前の半年間における賃金の合計÷180日」なので、本事案では以下の計算により9,000円となります。

月収賃金27万円×6ヶ月÷180日=9,000円

  • 失業手当日額(基本手当日額):5,728円

失業手当日額は、上記(1)の表の※2の計算式に従って計算すると5,728円となります。

  • 給付日数:180日

給付日数については、前記「3」(1)の表のうち、年齢「30歳以上35歳未満」と被保険者期間「5年以上10年未満」が交差する欄に記載された「180日」です。

  • 受給総額:103万6,980円

受給総額は、「失業手当日額5,728円×給付日数180日」で103万1,040円となります。

実際には、求職活動を継続しつつ、毎月ハローワークで失業の認定を受けたうえで、1ヶ月分ずつが振り込まれます。

6、失業保険の不正受給は絶対にNG

賃金日額や失業手当日額は離職前の収入によって異なり、給付日数は離職理由によって異なります。

以上のような項目を虚偽の申告をし、失業保険を少しでも多く受け取ろうと考える人がいますが、決してこのような不正を行ってはいけません。

万が一、不正が発覚すると、以下のペナルティが課せられます。

  • 残りの失業保険給付を受ける権利を失う
  • 不正に受給した金額は全額返還しなければならない
  • それに加えて、不正に受給した金額の2倍に相当する金額を納付しなければならない
  • 以上の返還・納付には年5%の延滞金が加算される
  • 詐欺罪等で処罰される可能性もある

失業保険の受給中にアルバイトなどをしたにもかかわらず、「働いていない」「収入はない」と申告して受給を続ける行為も不正となりますので、注意しましょう。

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