連帯保証人になっていると、主債務者が返済できないときに、代わって返済しなければならないという重い責任を負います。
そのため、途中で解除してもらいたいと考える人も少なくありません。
- 破産しそうな知人の借金の連帯保証人になっているケース
- 住宅ローンの連帯保証人になっていて主債務者である配偶者と離婚するケース
- 独立した子どもの賃貸住宅の連帯保証人になっているが本人が滞納を繰り返すケース
など、連帯保証人には、さまざまな事情があることでしょう。
連帯保証は債権者との契約によって成立しているものですので、主債務者や連帯保証人の側で勝手に解除することは認められません。
しかし、状況によっては解除してもらうことも可能です。
今回は、
- 借金の連帯保証人から解除してもらえるケース
- 連帯保証人から解除してもらうための具体的な方法
- 連帯保証人から解除してもらうときの注意点
などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が分かりやすく解説していきます。
この記事が、連帯保証人としての重い責任から免れるために解除を望む方の手助けとなれば幸いです。
1、連帯保証人から解除してもらうための前提知識~連帯保証人とは?
まずは、連帯保証人というものが、法律上どのような責任を負うのかについて解説します。
(1)主債務者と同じ債務を負う
連帯保証人とは、主債務者と同じ立場で返済義務を負う保証人のことです。
そもそも保証人とは、主債務者が返済しないときに返済する責任を負う人のことです(民法第446条1項)。元金だけでなく、利息や遅延損害金、その他の違約金や損害賠償金など、主債務に関して発生する支払い義務のすべてについて責任を負います(同法第447条1項)。
単なる「保証人」の返済義務は、「主債務者が返済しないとき」にのみ発生します。対して、「連帯保証人」の返済義務は、連帯保証契約を結んだ時点で発生しているのです。
主債務者が返済を怠らなくても、主債務者と同じ債務を負っているのが連帯保証人です。
(2)「保証人」との違い
単なる「保証人」と「連帯保証人」との違いを具体的にいいますと、債権者から返済の請求を受けたときに、
- 先に主債務者に請求するように
- 先に主債務者の財産を差し押さえるように
と主張して返済を拒めるかどうかの点で異なります。
単なる保証人は、債権者が主債務者に請求せず、いきなり保証人に請求してきた場合には「先に主債務者に請求してください」と主張できます。
この権利のことを、「催告の抗弁」といいます(民法第452条)。
債権者から主債務者に対する請求が空振りに終わっても、以下のいずれも当てはまる場合は、単なる保証人は「先に主債務者の財産を差し押さえてください」と主張できます。
- 主債務者に返済能力がある
- 債権者が主債務者の財産を差し押さえることに特段の支障がない
この権利のことを、「検索の抗弁」といいます(同法第453条)。
連帯保証人には、上記2つの抗弁権が認められていません(同法第454条)。債権者が、主債務者ではなく連帯保証人に対していきなり請求してきた場合にも、返済を拒むことができません。その意味で、連帯保証人は主債務者と全く同じ債務を負っているといえるのです。
2、連帯保証人から解除してもらえる3つのケース
連帯保証債務は債権者との契約によって発生していますので、連帯保証人から解除してもらうためには、連帯保証契約を消滅させる必要があります。
いったん成立した契約を自由に消滅させることはできませんが、以下の3つのケースでは連帯保証人から解除してもらうことが可能です。
(1)連帯保証契約の無効・取消しを主張する
連帯保証契約に何らかの問題があった場合には、契約の無効または取消しを主張できる可能性があります。
無効または取消が認められると、契約は初めからなかったことになりますので、初めから連帯保証人ではなかったことになります。
(2)債権者との合意で解除してもらう
連帯保証契約を一方的に解除することは原則として許されませんが、債権者との交渉により合意ができれば解除してもらうことも可能です。
この場合には、契約が解除された時点で連帯保証人の責任から解除されることになります。
(3)主債務を消滅させる
主債務を弁済するなどして消滅させれば、主債務の契約は目的を達成して終了し、それに伴い連帯保証契約も終了します。
借金を一括で返済することは、容易でない場合も多いです。しかし、一括返済が可能な場合には、債権者の意向にかかわらず連帯保証人の責任から免れることができます。
配信: LEGAL MALL