妊娠中から“パパ育て”が必要!?子育ては妊娠中から始まっている?パパが心得ておくべきことは3つ

妊娠中から“パパ育て”が必要!?子育ては妊娠中から始まっている?パパが心得ておくべきことは3つ

女性は10カ月の妊娠期間を経て、心も体も少しずつママに変化していきます。わが子が生まれた瞬間、「ようやく会えた」と感じるのは、胎動や体の変化を通じて日々つながりを感じてきたからこそ。一方、体の変化がなくいきなりパパになる男性は、なかなか親としての自覚が湧きにくいようです。


これまで多くのパパに育児支援をしてきた大阪教育大学教育学部教授の小崎恭弘先生は、「妊娠中からパパを育てましょう」とママたちに呼びかけます。その理由と方法について解説していただきました。

妊娠中からパパ育てを始めた方がいいワケ

女性は妊娠という「赤ちゃんをおなかで育て、出産してママになる」という過程があります。一方、男性に何も変化は起きません。子どもが生まれた直後はパパになった自覚が湧かず、ママほど家事育児ができないというパパも少なくありません。こうなると、生まれた瞬間の親としてのスタートラインに大きな差が生じてしまいます。


今のパパに求められることは

かつては、「女性は家庭、男性は仕事」という昭和の家族モデルがありました。しかし今は男女ともに働く生き方が主流の時代。性別の問題より“その人らしい生き方”が尊重される社会へと進化しつつあります。


「性別役割分業がだんだん払拭されていき、女の人、男の人の役割、ポジション、仕事、課題がボーダレスになってきています。僕の長男は26歳ですが、当時立ち会い出産したんです。男は仕事、女は家事育児という分業の意識が色濃かった時代です。妊娠、出産、子育て=女性の仕事とされ、“男性は立ち会ってはいけない”、“関わってはいけない”という風潮さえありました。だからあの頃は『えー!』と周りにとても驚かれました。でも今は立ち会い出産を希望する夫婦が多くいます。こうしたことからも分かるように、社会は変わってきています。でも社会全体としては、今もまだまだ性別による役割分業の文化が残っているというのが現状です」


核家族化、地域のつながりの希薄化で、ひと家族当たりに関わる大人が少なくなり、家族が小さくなっている現代。だからこそ、より積極的なパパの育児参加が求められています。


「昔はおじいちゃん、おばあちゃんが同居する大家族が多く、近所とのつながりも強かったんです。でも今の核家族は頼れる大人はパパとママくらい。小さくなった家族において、父親の存在は身近な大人として、大きな役割を担っています。だからこそ、妊娠中から夫婦で親になる意識を作って“パパの心”を育てていくことは大切です。そして、妊娠期の夫婦の在り方、父親の在り方は子どもが生まれてからも影響していきます」

ママの妊娠から子育てがスタートしていると考えて

お互いにとって貴重な支えとなるママとパパの存在。ゴール(予定日)が決まれば、そのXデイに向けて、一緒に当事者意識を持ち、「2人で親に」なる準備をしていくことが大切です。


産後の子育てを良好な夫婦関係でスタートさせるには、妊娠期からの夫婦の協同が影響することが調査(※)からも明らかになっています。さらに、妊娠期に夫婦で仲良く過ごすことが、産後うつの抑止にもつながるそうです。


「豊かな妊娠期を過ごすことで、子どもが生まれたあとの不安定さを避けられる可能性が高まります。妊娠中から孤独にならない、させないことです。今、女性だけでなく男性の産後うつにも注目が集まっています。夫婦そろって産後うつになるケースもあるんです。妊娠期はパパママが親になる心の準備期間です。妊娠期に不仲で、子どもが生まれた途端に仲良くなるなんてことはほぼないですよね。だから妊娠期から支え合う夫婦関係が大事なんです」


※参考:東京大学Cedep・ベネッセ教育総合研究所 共同研究「乳幼児の生活と育ちに関する調査」(乳幼児パネル調査)

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