ロイヤルコペンハーゲンの人気の秘密を探る!青の使い方が上品で可憐な美しさを生む

ロイヤルコペンハーゲンの人気の秘密を探る!青の使い方が上品で可憐な美しさを生む

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一言に「磁器」と言っても、その種類は様々に分かれており、中でも「軟質磁器」や「硬質磁器」などの分類を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。二種類の磁器の違いを大きく分ける部分には、その原料の存在が大きく関わってきます。硬質磁器にはカリオンと呼ばれる鉱石が70%以上含まれ、軟質磁器には長石と石灰などが多く含まれます。

17世紀から18世紀、ヨーロッパの王侯貴族が熱狂した「白い金」と呼ばれた東洋の磁器を作り出そうと、各国が熾烈な磁器開発競争を行い、ついにカリオンの存在にたどり着いた、現在のドイツの「マイセン」がヨーロッパ初の硬質磁器作りに成功したのは1709年のことでした。

今回ご紹介するのは、そんな磁器開発競争の勝者であるマイセンから遅れること60年ほど後に磁器製造を始めたデンマークの「ロイヤルコペンハーゲン」です。マイセンや他のヨーロッパ諸国から遅れをとりながらも、ついにはパリ万博で他の有名釜を抑えてグランプリを受賞するまでに発展したロイヤルコペンハーゲンの歴史と、創業から250年近く経った現在でも愛され続けるその魅力の秘密を探っていきましょう。

ロイヤルコペンハーゲン が何故支持されるのか?インテリアのプロがその人気の秘密を紐解く

ロイヤルコペンハーゲンとは?

18世紀、現在のデンマークがまだ、デンマーク=ノルウェーの同君連合であった時代、ドイツのマイセンが硬質磁器の開発に成功した46年後の1755年、デンマーク領の島で磁器の原料となるカリオンが発見されます。その後、鉱物学者であるフランツ・ミュラーが、デンマークで初めて磁器の製造に成功したのは1773年のことでした。幸運なことにその同時期、ノウルウェーの土地から青色の原料となるコバルトが採掘されたことが、現在でもロイヤルコペンハーゲンの特徴である白磁に青色の絵付の器が、初期の頃から生産することを可能にしました。

磁器の製造に成功したミュラー氏は、当時の国王であるクリスチャン7世と、王太后ユリアーネ・マリーをスポンサーに、王室御用達窯として1775年に創業します。創業当初より、製品にはデンマークの3つの海峡を表す3つの波模様と、王室御用達を意味する王冠のバックスタンプ(窯印)が刻印され、現在でもややデザインは変われどロイヤルコペンハーゲンの製品には波模様と王冠のバックスタンプが刻印されています。

また、創業当初から受け継がれ、今でもお馴染みなものに、「ブルーフルーテッド」シリーズがあります。このシリーズは、初期の製品シリーズでありながらも、多くの人々に愛され続け、今でもロイヤルコペンハーゲンの定番となっています。1779年にロイヤルコペンハーゲンが国営化され、「王立デンマーク磁器製陶所」となり、その後1868年に民間に売却され「ロイヤルコペンハーゲン陶磁器工房」となっても製造は続けられており、1780年代頃までにはデンマークの一般家庭から富裕層に至るまで、ブルーフルーテッドの食器は普及していたことからも、その人気の高さが伺えます。

1868年以降、民間企業となったロイヤルコペンハーゲンは、その後1882年にアルミニア工房へと売却されます。それまでロココ様式やネオクラシック様式を取り入れていたブルーフルーテッドをはじめとした製品に新たな風を持ち込んだのは、1884年にアートディレクターとして雇われた「アーノルド・クロー」でした。彼はデンマークの建築家・画家であり陶芸の専門ではありませんでしたが、このクロー氏が、ロイヤルコペンハーゲンを世界的ブランドへと押し上げる立役者となります。

彼は、定番の人気シリーズ、ブルーフルーテッドに時代にあったデザインを取り入れた他、当時ヨーロッパで人気のあった「ジャポニズム(日本風)」デザインへも挑戦します。また、「アンダーグレース技法」などの絵付や製品自体の品質の向上も行われました。こうして、デザイン・品質・技巧などを向上させたロイヤルコペンハーゲンが、1900年に開催されたパリ万博でグランプリを受賞。その知名度は世界中に広まり、ブランドとしての地位を確立していきます。

現在、ロイヤルコペンハーゲンは、2012年よりフィンランドのフィスカース社の傘下のブランドとなっています。初期に誕生したブルーフルーテッドや、クロー氏が派生させたブルーフルーテッドのフルレースやハーフレースシリーズなど、ロイヤルコペンハーゲンの歴史そのものを語るロングセラーシリーズは、時代を超えて今でも人気が高いシリーズです。また、昔からあるデザインだけではなく、デザインデュオ「ガムフラテージ」やオランダのデザイナー「ワウター・ドルク」とのコラボ、モダンなスタイルのデザインなど、伝統的なデザインだけではなく伝統を発展させた新しいデザインにも挑戦しています。

参考:フィスカースジャパン ロイヤルコペンハーゲン HP「The mother of the country 1775」
https://www.royalcopenhagen.jp/cms/preview.php?pre_no=417

参考:フィスカースジャパン ロイヤルコペンハーゲン HP「The world’s greatest! 1889」
https://www.royalcopenhagen.jp/cms/preview.php?pre_no=419

参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「ロイヤルコペンハーゲン」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%B3

ロイヤルコペンハーゲンのスタイル

ロイヤルコペンハーゲンのアイテムといえば、ブルーフルーテッドをはじめとした、白磁にコバルトブルーの絵付が特に印象的です。初期の頃からあるブルーフルーテッドシリーズの「フルーテッド」とは「縦縞(縦溝)」を意味する言葉で、器に施された縦溝のレリーフがフルーテッドになります。ブルーのペイントは、1197回も筆を動かして熟年の職人によって仕上げられており、その絵柄の起源は中国にあるため何処かアジア風でもあり、日本食などにも馴染みます。

初期のブルーフルーテッドシリーズを「プレイン」、縁にレース状のオープンワークが施された「フルレース」、縁にレース模様のペイントが施された「ハーフレース」の呼び名で、現在はシリーズ展開がされており、ブルーのペイントが施されたものの他、無地のホワイトシリーズもまたシンプルでありながら器のシェイプが楽しめるシリーズとして人気を博しています。

品が良く落ち着いた印象のプレインは、クラシックスタイルの他、和のインテリアなどにも合わせやすく、ハーフレースやフルレースシリーズはエレガントな佇まいをしているので、クラシックスタイルやシャビーシック、ロココ風のインテリアなど可憐な印象のインテリアにもおすすめです。また、近年登場した「ブルーフルーテッド メガ」や「ブラックフルーテッド メガ」などの新しいフルーテッドの派生系は、パターンを大胆に拡大・配置したことで、カジュアルでモダンな印象持っており、モダンスタイルのインテリアなどにも取り入れることができます。

ロイヤルコペンハーゲンの評判

デンマークの老舗ブランドであり、日本でも知名度の高いロイヤルコペンハーゲンですが、「ロイヤル」と名前に付いていると、西洋の王侯貴族が使うような華麗でゴージャスなアイテムが多いのではと、感じてしまうかも知れません。しかし、ロイヤルコペンハーゲンは創業当初からデンマーク国の一般市民にも愛用されてきた、庶民にもお馴染みのブランドなのです。

長年愛され続けてきたブルーフルーテッドシリーズを見てわかる通り、豪華なディナーセットとしてだけではなく、単品でも使いやすいのが特徴で、豊富な器の種類展開によって多種多様な現代の食卓にも対応しています。ここでは実際に使用している日本のユーザーの感想を参考に、その使用感や使いやすさなどを見ていきましょう。

ロイヤルコペンハーゲンは、シリーズごとの器のバリエーションも豊富なので、セットで揃えても使いやすく、また別シリーズと組み合わせてもコーディネートしやすいのも魅力の一つです。一部のシリーズを除いて、金彩なども施されていないので、食洗機や電子レンジでの使用もできるので、ちょっと可愛くてクラシック感のある器で普段使いできるものをお探しの方や、統一感のある同じシリーズで色々な器を揃えたいと考えている方におすすめのブランドです。

ロイヤルコペンハーゲン が好きな方におすすめブランド

MEISSEN(マイセン)

ロイヤルコペンハーゲンの歴史の中に燦然と輝くディナーセット「フローラ・ダニカ」は、世界3大ディナーセットに数えられる名作の一つです。1790年、ロシアのエカチェリーナ2世のために制作されたフローラ・ダニカは、デンマークの植物を掲載した「フローラ ダニカ植物図鑑」の植物を、食器に一つ一つ一人の絵付師の手によって描き出されました。現在は国宝として、現存する1530個がコペンハーゲンのローゼンボーグ城に展示されています。

そんなフローラ・ダニカと並ぶ3大ディナーセットの一つが、ドイツの老舗ブランド「マイセン」の「スワンサービス」です。マイセンは、ヨーロッパで初めて硬質磁器の製造に成功した、老舗中の老舗ブランドであり、現在も熟練の造形師と絵付師の手によって、商品製造を行なっています。

スワンサービスからも解るように、マイセンの魅力の一つは、その繊細かつ美しい造形にあります。ロイヤルコペンハーゲンと比べると、より華やかで大胆な造形なので、お客さま用などのおもてなしの食器として活躍する機会が多いようです。クラシックテイストの普段使いとしてロイヤルコペンハーゲンを、おもてなし用としてマイセンを使い分けてもいいですね。

参考:マイセン HP
https://www.meissen-jp.com/

▼マイセンについてもっと詳しく知りたい方はこちら

https://hellointerior.jp/note/post-29677/

WEDGWOOD(ウェッジウッド)

世界3大ディナーセットの一つ、「フロッグサービス」は、イギリスの老舗陶磁器ブランド「ウェッジウッド」が、18世紀後半にエカチェリーナ2世のために作り出した名作です。手描きによる緻密な絵は、イギリスの風景を描いたもの。

ウェッジウッドは他の二つのブランドと違い、軟質磁器のボーンチャイナを得意とするブランドです。硬質磁器の原料となるカリオンが採掘されなかったイギリスでは、骨灰を粘土に混ぜることで白磁に変わるボーンチャイナが広く親しまれました。現在でもウェッジウッドは、ボーンチャイナの素地と、色彩豊かな動植物の絵柄のシリーズを多く展開しています。

ウェッジウッドは可憐で華やかな雰囲気のものが多く、マイセンは華麗でエレガントな印象、ロイヤルコペンハーゲンは甘すぎず豪華すぎない普段使いしやすい雰囲気があるので、インテリアや食事のシーンによって使い分けてみはいかがでしょう。

参考:フィスカースジャパン ウェッジウッド HP
https://www.wedgwood.jp/

▼ウェッジウッドについてさらに詳しく知りたい方はこちら

https://hellointerior.jp/note/post-28627/

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