DVで離婚する際におさえておきたい全知識【弁護士が解説】

DVで離婚する際におさえておきたい全知識【弁護士が解説】

3、DVでの離婚で、万が一離婚調停がまとまらない場合は?

調停を進めても、調停はあくまで話し合いの手続なので、相手方がどうしても離婚したくないと主張した場合や、条件で折り合いがつかない場合も考えられます。

このようなときは、裁判で決着をつけることになります。

裁判で離婚が認められるのは民法で定められた事由(法定離婚事由といいます)を満たす必要がありますが、結論としては、DVは民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」の一つの典型例として離婚が可能だといえます。

ただ、ここで重要なのは、DVがあったことをあなたが証拠を持って立証していかなければならないということです。

DVがあったのだと主張するだけでは、裁判所は離婚を認めてくれません。

そのため先ほど説明したようなDVに関する証拠の収集が非常に重要な意味を持つのです。

4、DVで離婚する際に請求できるお金は?

離婚に当たっては、基本的に、

  • 財産分与
  • (未成年の子供がいれば)養育費
  • 年金分割

といった金銭的な清算を行います。

これらの詳しいことは、こちらの記事をご覧ください。

この他、DV離婚で特別に問題となってくるのは、この2項目です。

  • 婚姻費用
  • 慰謝料

以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)婚姻費用

婚姻費用とは、いわゆる生活費です。

DVで離婚する場合、離婚成立前にまず「別居」がなされるべきだと説明してきましたが、DV加害者の方が収入が高い場合、この別居期間における生活費をDV加害者に請求することができます。

実際、いくらくらいの婚姻費用が請求できるのかについてはこちらの記事をご覧ください。

(2)慰謝料

慰謝料は、精神的苦痛を被ったといえる場合に請求することができます。

DVはまさに加害者である相手方の行為によって精神的苦痛を被った場合といえますから、相手方に対して慰謝料を請求することができます。

ここで、慰謝料はどれくらいもらえるのか。

これはDVの程度やそれによって負った怪我や精神的苦痛の程度、婚姻期間の長短等が影響するので一概にどれくらいとは言えませんが、離婚に際して裁判で認められる慰謝料は、数十万円から500万円程度の幅の中におさまることがほとんどです。

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