当て逃げの罪の時効は何年?放置するリスクと自首した方がよい理由

当て逃げの罪の時効は何年?放置するリスクと自首した方がよい理由

3、当て逃げの時効期間は何年?

それでは、当て逃げの時効期間についてみていきましょう。

公訴時効・民事責任の時効・行政責任の時効では、内容が異なりますので、それぞれ解説します。

(1)公訴時効は3年

当て逃げの公訴時効期間は、3年です。

前記の停止事由がない限り、当て逃げを起こしてから3年が経過すると罪に問われることはなくなります。

(2)民事責任の時効は20年

民事上の損害賠償請求権の消滅時効期間は、以下のうちどちらか早い方です(民法第724条)。

  • 被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから3年
  • 不法行為(当て逃げ)のときから20年

交通事故の加害者の損害賠償義務は、通常なら3年で消滅時効にかかります。

当て逃げの場合は、被害者が加害者の氏名・住所を突き止めるまで「加害者を知ったとき」が到来しません。

そのため、当て逃げにおける民事責任の時効期間は20年と考えておくべきです。

(3)行政責任の時効はなし

行政責任には、時効制度はありません

実際には、公訴時効が成立すると警察は捜査しない場合が多いので、その後に行政処分を受けることは考えにくいでしょう。

しかし、理論上はいつまでも行政処分を受けるおそれがあることになります。

4、当て逃げをして時効完成まで待つのはあり?放置するリスクとは

当て逃げをしてしまった場合、時効が完成するまで待つのはいけないことなのでしょうか。

時効という制度が設けられている以上、一概に悪いとは言い切れません。

しかし、放置していると以下のリスクを負うので、時効完成まで待つことが得策とはいえません。

(1)突然、逮捕されるおそれがある

物損事故を起こしたときに誰にも見られていないと思っても、被害者の車内に設置されたドライブレコーダーに犯行の模様が映っていると、言い逃れはできません。

他の車のドライブレコーダーや、街中の防犯カメラなどに犯行の模様が記録されている可能性も十分にあります。

これらの証拠がある場合に、被害者が警察に被害届を提出すると、ある日突然に逮捕される可能性があります。

通常は、警察から「事情聞きたいので警察署に出頭してもらいたい」という連絡がありますが、警察からの連絡を無視していると実際に逮捕されることもあるのです。

(2)示談交渉が難しくなる可能性が高い

物損事故を起こした直後であれば、ほとんどの場合は円滑な示談交渉が可能です。

しかし、当て逃げをすると被害者が「許せない」という気持ちを強く持つため、交渉を拒否されることもあります。

示談交渉に応じてもらえたとしても、壊したものを弁償するだけでなく、慰謝料相当額なども含めて高額の示談金を要求される可能性が高くなります。

被害者が納得する示談金を支払わなければ、修理代など本来の賠償金を支払っても、「加害者の処罰は望みません」と記載した示談書にサインしてもらうことは難しいでしょう。

(3)刑罰が重くなりがち

当て逃げをした後、放置している期間が長くなればなるほど悪質であると判断され、刑罰が重くなりやすい傾向にあります。

被害者との示談が成立しない場合は、そのことも刑罰が重くなる要因となりがちです。

時効が完成すれば、刑罰を受けなくなります。

しかし、発覚すると刑罰が重くなってしまうため、ドライブレコーダーや防犯カメラが普及した現在において、当て逃げの放置はリスクが高いというしかありません。

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