教育の質ってどう計る?
では、質の高い教育とはどんな教育でしょうか。
先進国と開発途上国では教育条件はまったく違います。日本では、ICT教育の導入により大型モニターが教室の前にドンと置かれ、先生がパソコンを使って教材や問題を提示し、子どもたちが全員タブレットを使って回答・解答するシーンが増えてきました。高度な教育機器を活用する教室、様々な実験や実習を行う特別教室などもそろっています。一方、開発途上国では電気もない狭い教室もあります。先生はざらざらの黒板に質の悪いチョークで文字を書き(文字が見づらい)、子どもたちはノートに鉛筆で書き写します。スポーツを楽しむグラウンドのない学校もあります。学習環境に着目すれば、質の違いは一目瞭然です。
開発途上国には就学率が低い国もあります。ドロップアウトもあります。貧困や古くからのジェンダー意識が影を落としています。教育の質の向上は学校の学習環境の改善や教育内容、教育方法の向上といった教育固有の課題だけではなく、社会の意識の改革や貧困の解消とも深くかかわっているのです。
日本国内に限って考えてみましょう。どんな尺度で教育の質を評価するのでしょうか。大学への進学率?全国学力テストの結果?教員の質?教員一人が受け持つ子どもの数?クラスサイズ?いろいろな要因が頭に浮かびます。
公立と私立、都市部と過疎地でそれぞれ教育の条件は違っています。教育内容については学習指導要領で一定の指針が示されていますが、都会の小学校の40人近い児童数のクラスと過疎地の数人のクラスや複式学級では、先生と子どもたちの関わり合いやクラスの中での協力や競争の質も違います。地域と学校の関係にも濃淡があります。このように教育条件に大きな差がある中で、どの地域のどの学校のどの教育の質が高いとは一概には言えません。
防災教育の性格:地域に根差す
配信: moshimo ストック