3、ずっと別居したまま離婚しないことで生じるデメリット
一方で、離婚しないままずっと別居を続けることには、以下のデメリットもあります。
(1)経済的負担が大きくなる
別居して二重生活を続けていると、当然ながら家計における経済的負担が増大してしまいます。
妻の収入が夫よりも少なければ婚姻費用を請求できますが、夫の経済力にも限りがあるでしょう。
夫の貯金が減ってしまうと、後に離婚するとしても財産分与や慰謝料でもらえる金額が事実上、減ってしまう可能性が高くなります。
夫婦関係を修復するとしても、別居によって経済的なダメージを受けた後の生活は苦しくなるかもしれません。
「夫から婚姻費用さえもらえればOK」などと、自分と子どものことだけを考えていつまでも別居を続けていると、思わぬダメージを受けるおそれがあることに注意が必要です。
(2)子どもに精神的負担がかかることがある
離婚するよりは別居を続ける方が子どもにかかる精神的負担は小さいことが多いですが、それでも片方の親と離れて暮らすことは子どもにとって精神的負担となります。
子どもが小学校中学年から高学年くらいになると、「両親は離婚したわけでもないのに、なぜ一緒に住まないのだろう?」と腑に落ちない想いを抱えて、悩んでしまうこともあるでしょう。
場合によっては、両親が離婚して関係性をはっきりさせた方が、子どもが精神的に安定することもあります。
ただ、どちらがよいのかはケースバイケースですので、子どものデリケートな心情を注意深く観察して検討していく必要があるでしょう。
(3)再婚できない
別居していても法律上の夫婦である以上は、原則として貞操を守る義務があります。
そのため、離婚前に他の異性と交際すると、不貞行為として配偶者から慰謝料請求を受けるおそれがあります。
このような状態は、再婚相手を探す上で大きなハンディとなるでしょう。
いつまでも別居を続けていると年齢を重ねてしまい、再婚のチャンスが限られてくることにもなりかねません。
再婚したいとお考えの場合は、早めに離婚を検討する方が得策であるといえます。
4、離婚しないでずっと別居を続けたい人が注意すべきこと
ずっと別居を続けていきたいと思うのであれば、離婚を回避するために様々な配慮をすることが重要となります。
夫婦がお互いに関心を失っていて、婚姻費用のやりとりを除いて関わりたくないという場合は、それでもよいでしょう。
その場合は、婚姻費用の金額をきちんと取り決めて、確実に受け取れるようにしておく必要があります。
合意書を作成し、できれば公正証書にしておくことをおすすめします。そうすれば、相手方が支払わない場合には差押えの手続きをとって回収することが容易となります。
一方、別居していてもそれなりの夫婦関係を保ちたいという場合は、コミュニケーションを絶たないための工夫が必要です。
具体的には、日常的にメールやLINEのメッセージで連絡を取り合ったり、定期的に会って食事をしたり、子どもを相手方と定期的に会わせるといったことが重要となります。
これらの連絡や面会などは、成り行きに任せていると自然消滅して離婚に至る可能性が高いので、ルール化しておくことがおすすめです。
詳しい対処法については、こちらの記事が参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
配信: LEGAL MALL