5、別居に終止符を打ち、離婚する方法
別居中の夫婦の一方が離婚したいと思っても、他方が容易には応じないことがあります。
そんなときには、以下の対処法を検討してみましょう。
(1)離婚条件を見直す
離婚条件について意見が食い違う場合は、自分の意見に固執していても合意はできません。相手にとってもメリットがあるように、離婚条件を見直してみましょう。
あなたが夫の立場で、妻が経済的な理由で離婚に応じないのであれば、財産分与や慰謝料、あるいは養育費の金額を少し上乗せして提案してみるとよいでしょう。
あなたが妻の立場で、夫が親権を譲らないのであれば、慰謝料の減額に応じたり、離婚後の子どもとの面会交流には柔軟に応じたりするなどの提案が考えられます。
ただし、譲歩しすぎると離婚して後悔することになりかねませんので、譲れない最低限の一線は決めておくようにしましょう。
(2)法的手続きを利用する
相手が不倫やDV、モラハラなどの離婚原因を作った場合は、離婚条件について合意できなくても、法的手続きによって強制的に離婚することが可能です。
具体的には、まず家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。調停では、中立・公平な立場の調停委員が間に入り、様々な助言や説得を交えて話し合いを進めていきますので、当事者だけで話し合うよりも離婚が成立しやすくなります。
有利な離婚条件を獲得するためには、調停委員に詳細な事情を説得的に伝えて、味方に付けることがポイントとなります。
調停でも離婚が成立しない場合は、改めて家庭裁判所に離婚請求訴訟を提起します。相手方の有責行為を立証することができれば、判決で強制的に離婚が認められます。
訴訟で有利な離婚条件を獲得するためには、強力な証拠を確保することがポイントとなります。
(3)長期間の別居を理由として離婚を請求する
明確な離婚原因がない場合は、法的手続きで強制的に離婚を求めることは難しいです。その場合でも、別居期間が長期に及ぶと離婚が認められる可能性があります。
どれくらいの期間、別居が続くと法的に離婚が認められるのかは具体的な事情にもよりますが、5年が一つの目安となります。別居期間が5年を超えるケースでは、裁判で離婚が認められる可能性が高くなっています。
既に5年以上別居している場合は、離婚調停を申し立ててみるとよいでしょう。
まだ別居を開始して5年以内の場合は、離婚協議を継続しつつ、5年が過ぎたら離婚調停や離婚訴訟を検討することになります。
ただし、5年以上が経たなければ離婚が一切認められないというわけではありません。離婚調停では、明確な離婚原因がなくても合意により離婚できる可能性もあります。
したがって、数年でも別居している場合は離婚調停を申し立ててみるのも一つの方法です。もし、そのときの調停で離婚できなくても、さらに期間が経過した後に再度、離婚調停を申し立てることもできます。
6、別居を解消し、夫婦関係を改善する方法
中には、夫婦関係を改善して別居を解消したいとお考えの方もいらっしゃることでしょう。その場合は、焦らず徐々に夫婦間の距離を縮めていくことが得策です。
既に長期間、別居している場合は、それぞれに異なる生活リズムが定着しています。このような場合にいきなり同居を始めると些細なことで衝突が起こりがちとなり、夫婦関係が決裂してしまうおそれがあります。
それより、まずは定期的に会って食事をするなどしてコミュニケーションを増やすことから始め、やがて週末だけ同居し、それから完全に同居するというように、ステップを踏んで距離を縮めていくのがおすすめです。
また、一度は別居するほどに関係が悪化した夫婦ですので、同居生活を円満に進めるためにはお互いに改めるべき点がいくつかあることでしょう。
相手をいきなり変えることは非常に難しいので、まずは自分が悪かったと思う点を改善し、相手と心を開いて話し合える関係性を目指しましょう。
それから相手に対して要望を伝えると、改善するように努力してくれる可能性が高まります。
とはいえ、一度悪化した夫婦関係を自分たちだけで改善するのは難しいことも多いものです。困ったときは、夫婦カウンセラーに相談して専門的なアドバイスを受けるのも良い方法です。
夫婦間で直接話し合うことが難しい場合は、弁護士に間に入ってもらったり、「円満調停」を申し立てて家庭裁判所で話し合うという方法もあります。
弁護士に相談すれば最善の解決方法を提案してもらえますので、まずは無料相談を利用してみるとよいでしょう。
配信: LEGAL MALL