【あさりの栄養】ほかの貝や冷凍、缶詰との比較、おすすめの食べ方を管理栄養士が解説

【あさりの栄養】ほかの貝や冷凍、缶詰との比較、おすすめの食べ方を管理栄養士が解説

比較的安く手に入り、さまざまな料理に使えるあさり。

どのような栄養があるのか、ご存じですか?

しじみなどの似た貝に比べ、優秀なのかどうかも気になりますよね。

今回の記事では「あさりの栄養」や「おすすめの食べ方」について管理栄養士が解説します。

あさりの栄養

あさりはたんぱく質、カルシウム、鉄、亜鉛などの栄養素を含み、健康づくりを支えてくれる食べ物です。
とくに鉄が豊富であり、貧血の対策に有効です。

ほかにも体づくりや骨の健康維持など、さまざまな働きをしてくれます。

ほかの貝類との比較

あさりはさまざまな栄養素を含みますが、実はほかの貝類と比較すると、ずば抜けて優秀とはいえません。

実際に、100gあたりの含有量の違いを見てみましょう。

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

たんぱく質、カルシウム、亜鉛の含有量は、ほかの貝の方より少なくなっています。
しかし、鉄はしじみに続く多さで、不足しがちな鉄の補給に役立つでしょう。

注目すべきはカロリーの低さです。
ほかの貝よりカロリーが低いため、カロリーを抑えながら栄養補給したいときに役立ちます。

また、あさりは貝の中でも比較的安く、手に入れやすいのも魅力です。
日常的な栄養補給にあさりがぴったりでしょう。

冷凍や缶詰で栄養はどう変わる?

「冷凍のものは栄養がないのでは?」と思うかもしれませんが、その心配は必要ありません。
冷凍食品は急速冷凍されており、栄養素の損失が少なくなるように工夫されているのです。

一方、缶詰はどうでしょうか?

「日本食品標準成分表」には冷凍のあさりの栄養成分値は掲載されていないのですが、缶詰のあさりは掲載されています。

100gあたりの違いを確認してみると、以下の通りです。

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

生に比べると、缶詰の方が含有量が多くなっています。

鉄に関しては約7.9倍もの量で、鉄を豊富に含む食べ物の代表ともいえる、レバーよりも優れた含有量です。

生と缶詰のもので含有量が違う理由は、以下が考えられます。

・缶詰は加工の段階で水分が減っているため、見かけ上多いように見える
・分析されたあさりの産地などが異なる

あさりは缶詰になることでずば抜けて栄養豊富になるというわけではありません。
水分の差や、個体による差があると考えられるため、生でも缶詰でも、どちらも上手に活用したいものです。

あさりの旨味がたっぷり詰まった生のあさり、また手軽に使えるのがうれしい冷凍や缶詰のあさりは、目的や取り入れやすい方法で選ぶと良いでしょう。

あさりの栄養と期待できる効能

具体的に、あさりに含まれる栄養素にはどのような効能が期待できるのでしょうか。
健康づくりを支えてくれる理由をお伝えします。

質の良い「たんぱく質」

良質なたんぱく質とは、体内で合成されないアミノ酸がバランスよく含まれたたんぱく質のことであり、身体の中で効率的に使われます。

たんぱく質の不足は、筋肉量の低下や、体力、免疫機能の低下につながります。
毎食欠かさず取り入れましょう。

貧血対策になる「鉄」

貧血になると、酸素を全身に運搬しにくくなり、疲れやすさや息切れ、頭痛などの症状が表れることがあります。

またスポーツをしている方は、貧血になることで運動機能の低下につながることも知られているため、とくに意識して摂取してください。

骨の健康をつくる「カルシウム」

あさりにはカルシウムが含まれ、骨の健康づくりに欠かせません。

カルシウム摂取量が不足すると、血液中のカルシウム濃度を維持するために、骨からカルシウムが取り出され、スカスカになる原因となります。

日本人はカルシウム摂取量が不足気味のため、さまざまな食べ物から取り入れることが大切です。

身体の成長や免疫機能を調整する「亜鉛」

亜鉛はたんぱく質の合成など成長に欠かせない役割や、免疫機能を調整する役割があります。
不足により、味覚障害、食欲不振、皮膚炎などが起こることが知られています。

また、子どもが不足した場合は成長障害がみられることもあり、成長期はとくに意識して摂りたい栄養素です。

コレステロール低下を期待「タウリン」

コレステロール値の低下や、肝臓の解毒機能の強化など、さまざまな機能が期待されており、栄養ドリンクの成分として使われることもあります。

ほかにも血圧や血糖値へも有効性が期待されており、生活習慣病が気になる方にも良いでしょう。

※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査