小学校受験のメリット・デメリット
小学校受験にどんなメリットやデメリットがあるのかを知らずに準備を進めてしまうと、後悔する可能性があります。事前に押さえておきたいメリット・デメリットを見ていきましょう。
人間関係の構築がしやすく教育環境の質が高い
「子どもにとって居心地がよい人間関係」を築きやすいところは、小学校受験のメリットです。
公立校には様々な家庭の子どもがいますが、小学校から子どもに受験させる家庭は、教育方針や家庭環境などが一定の水準になりやすい傾向です。近い性質の子どもが多く集まるので、人生の早い段階で気が合う友人を見つけられます。
小・中・高の一貫教育となっている場合、同級生と一緒に過ごす時間が長くなり、生涯にわたって付き合える友人に発展することも珍しくありません。
公立校に比べて「教育環境が充実しているところ」も、小学校受験のメリットです。様々な学校から、家庭の教育方針にマッチする学校を選べます。質が高い学習をめざす学校を選べば、子どもの才能を伸ばすきっかけになるでしょう。
金銭面の負担や子どもに合わない場合も
教育環境が整った学校を受験させる場合、金銭面の負担が大きくなる点はデメリットです。幼児教室や塾など、小学校受験の対策費用が必要になるほか、合格後も、私立の小学校では公立校の数倍の授業料がかかるでしょう。
入学後に設備を充実させるための寄付を求められることもありますし、学校が家から遠い場合は交通費も必要です。
また、小学校受験の主役は子ども自身なので、子どもが乗り気でなければ、うまくいきません。親が受験勉強を押し付けてしまうと、勉強に対する拒否反応が出る恐れがあるので、受験の進め方には注意しましょう。
小学校受験の準備はいつから始める?
小学校受験をしようと考えたとき、問題になるのがどれくらいの準備期間を設けるべきかです。いつから準備すればよいのか、見ていきましょう。
年中からの準備が増えている
小学校受験が行われるのは、10〜11月ごろです。小学校受験をする際は、年中の秋ごろから準備をする家庭が一般的で、合格するには最低でも1年間の勉強が必要とされます。
できれば、余裕を持って「年中になった頃合い」を見計らって準備を始めるとよいでしょう。早めに家庭での教育方針を固めた方が、スムーズに準備を進められます。
秋ごろから準備を始めると、受験対策をするために幼児教室に通うなど、新しい環境に慣れるための十分な時間が取りにくいでしょう。特に、難関校に挑戦する場合は早い時期からの準備が必要です。
早めの準備が必要な理由
小学校受験は学力だけでなく、総合的な人間力が評価対象となっています。例えば「どのような教育方針を元にしつけをしているか」「規則正しい生活ができているか」などが、よく見られています。
家庭で両親とどのような会話をしているのかをチェックするために、日常生活が回答に表れる質問が出るケースも少なくありません。
ペーパー試験では、練習を重ねないと解くのが難しい問題が出るので、早めに準備しておきましょう。準備期間が足りないと、無理のあるスケジュールを子どもに押し付けることになってしまいます。
小学校受験の試験内容は?
小学校受験で行われている試験の内容が分からないと、誤った対策をするリスクがあります。どんな試験が行われているのかチェックしましょう。
ペーパー試験
ペーパー試験では試験官が問題を読み上げ、子どもが回答を紙に記すという内容の試験が行われます。
例えば、物語が読み上げられたあと「主人公は何色の服を着ていましたか?」などの質問がされ、物語の内容に合わせて正解に印をつけるといった問題を出す学校も少なくありません。
正しい回答をするには、試験官の話を集中して聞く能力や記憶力が必要です。イラストを見て話を作るといった、日本語の表現力が必要な問題が出ることもあります。
数の概念を理解しているかを問うために複数の動物の絵を見せ、それぞれの動物と同じ数だけ丸を描くなどの問題もあり、正確に答えるには事前の練習が重要です。
行動観察
行動観察では初対面の子どもたちが集団で遊ぶ様子を観察し、どのような振る舞いをするかがチェックされます。入学後は集団行動をすることになるので、学校側は子どもの社会性を観察したいと考えているのです。
協力して遊べる子もいれば、自分の世界に没頭してしまう子もいます。友だちと協力して遊べた方が、協調性が高いと判断され評価が高くなる傾向です。
遊びの内容はごっこ遊びや積み木遊びなどのほか、絵画や工作を制作させたり、かけっこや体操などの運動を取り入れたりする学校もあります。
多くの学校で行動観察が重視されており、なかにはペーパー試験より重きを置く学校もあるようです。
面接
学校によって形式は異なりますが、小学校受験では面接が行われることが少なくありません。子どものみの場合もあれば、親子での面接が行われる場合もあります。
学校側は5~15分程度の時間を設けて様々な質問をし、子どもや両親の素の姿をチェックしようとしているのです。
親に対しては学校に期待することや、子どもとの関わり方などを尋ねることが多く、子どもには食生活やお手伝いなどについて質問をすることで、日ごろの姿をチェックします。
「なぜお友だちと仲良くしなければならないか、子どもに説明してください」というような質問をして、会話の内容をチェックする学校も珍しくありません。
答えの内容だけでなく、面接官の質問に答えるときの姿勢も見られています。落ち着きがなかったり、姿勢が悪かったりすると減点対象となるでしょう。
小学校受験に必要な対策は?
何も対策をせずに小学校受験をクリアするのは、非常に難しいといえるでしょう。小学校受験に受かるために、やっておきたい対策を紹介します。
家庭内で行うしつけ
小学校受験をする家庭では、子どもとよくコミュニケーションを取ることが求められます。面接で子どもに正しい言葉遣いをさせようと思うなら、普段から話し方に注意しなければなりません。
親が率先して正しい言葉を使い、子どものお手本になりましょう。面接では普段の生活が重視されるので、子どもに簡単なお手伝いをさせてコミュニケーションを取る方法もおすすめです。
植木の水やりや自分の部屋の掃除など、簡単にできそうなことから一緒に取り組んでみましょう。
また、家庭内でのしつけを行う際は、父親と母親の両方が小学校受験に対して共通の教育方針を持つことが大事です。小学校受験を成功させるには、家族がひとつになって同じ課題に取り組む気持ちを持ちましょう。
教室を利用した幼児教育
小学校受験対策として、幼児教室に通うのも効果的な方法です。幼児教室は就学前の子どもを対象に、様々な遊びを通じて考える力を養います。
先生の指示を聞いて行動したり、知らない子どもたちと一緒に時間を過ごしたりする経験ができるので、本番の試験で慌てることがなくなるでしょう。
学習への興味を引き出す指導を受けられたり、絵画や工作などにも挑戦したりと、家庭だけでは難しい様々なことを教えてもらえるところが魅力です。
親にとってもよい面があり、先生やほかの保護者から小学校受験の情報を入手でき、不安を解消しやすくなります。
金銭的な準備も必須
小学校受験では、費用の準備が欠かせません。小学校受験に特化した塾に通わせる費用は、1カ月あたり2万円程度です。絵画教室や体操教室などにも通わせたいとなると、さらに多くの費用がかかります。
1回の受験料として私立校は2~3万円程度、国立校でも3000円程度が必要です。複数の小学校を受験するのであれば、10万円近い費用が必要になるでしょう。
私立校に合格した場合は、年間で100~150万円程度の授業料を準備しなければなりません。制服代や給食費なども必要になることを考えると、大きな出費が予想されます。
授業料や教材費などは学校によって異なるので、早い段階で志望校の情報をチェックしておきましょう。
まとめ
小学校受験をする予定なら、早い時期から準備した方が慌てずに済みます。遅くとも、年中の秋ごろには対策をスタートしなければなりません。できれば、年中に上がるころから準備を進めましょう。
ペーパー試験の対策だけでなく、面接での受け答えや普段の生活の改善など、やるべきことはたくさんあります。年長になってから準備を始めればよいと考えていると、うまくスタートを切れなかったときに挫折してしまうでしょう。
公立校に進学する場合と比べて多くの費用も必要になるので、早い段階から準備しておいた方が、金銭的にも余裕を持って行動しやすくなります。