禁錮とは?懲役との違いや受刑生活のきつさ、回避する方法など解説

禁錮とは?懲役との違いや受刑生活のきつさ、回避する方法など解説

3、禁錮の受刑生活はきつい?

もし禁錮の判決を受け収監されることになったら、どのような生活が待っているのでしょうか?

(1)禁錮の受刑生活の模様

禁錮の実刑判決が下されると、基本的には刑務所で生活しなければなりません。

刑務所では規則正しい生活を送りますが、禁錮の場合には刑務作業が科されないため、日中は時間的余裕があります。

とはいえ、運動の時間を除いて自由に動き回れず、部屋の中で過ごさなければなりません。

しかも監視されていて勝手にくつろげるわけではなく、やることがないというのが実情のようです。

(2)多くの禁錮刑受刑者は自ら刑務作業に従事している

禁錮であっても自ら希望して請願作業として刑務作業に従事することは可能です。

実際には、禁錮で収監されている受刑者のうち8割程度が自ら希望して刑務作業を行っています。

「部屋の中で何もできない方が、刑務作業よりも苦痛だ」と感じる人が多いのがその理由です。

禁錮で刑務所に入っても自ら希望して刑務作業をしている受刑者が多いため、事実上禁錮と懲役とは大差がないともいえるでしょう。

結論として、禁錮の受刑生活は懲役の場合とほぼ同様にきついといっても間違いではありません。

4、禁錮はどのような犯罪に適用される?

では、禁錮はどんな犯罪で科される可能性があるのでしょうか?

禁錮が定められている犯罪の種類や適用されやすいケースを解説します。

(1)禁錮が定められている主な犯罪

法律上、禁錮を科せられる可能性がある主な犯罪は以下のとおりです。

罪名

条文

法定刑

内乱(首謀者)

刑法77条1項1号

死刑、無期禁錮

公務執行妨害

刑法95条1項

3年以下の懲役・禁錮、50万円以下の罰金

自殺関与・同意殺人

刑法202条

6月以上7年以下の懲役・禁錮

業務上過失致死傷等

刑法211条

5年以下の懲役・禁錮、100万円以下の罰金

名誉毀損

刑法230条1項

3年以下の懲役・禁錮、50万円以下の罰金

過失運転致死傷

自動車運転処罰法5条

7年以下の懲役・禁錮、100万円以下の罰金

他にも、公職選挙法、政治資金規制法といった政治関係の犯罪などで禁錮が定められています。

(2)禁錮が適用されやすいケース

一般的に、政治犯や過失犯で禁錮が定められているケースが多いです。

もともと禁錮は「道徳的に非難されるべきではない動機に基づく犯罪については、通常の犯罪者とは異なった処遇をすべきである」との考えから存在しているため、政治犯では禁錮しか定められていない場合もあります。

交通事故などの過失犯についても「不注意で罪を犯してしまったに過ぎない人の刑罰は軽くすべき」との配慮から禁錮が規定されています。

もっとも、上の表を見るとわかるように、禁錮が定められていても、懲役や罰金といった他の刑罰も選択可能な犯罪が多いです。

刑務所での身体拘束が妥当と考えられるものの、懲役を科すほどではない場合に禁錮が選択されます。

また、そもそも刑務所に入れるほどではないと判断される場合には、罰金が科せられます。

(3)懲役が適用されやすいケース

懲役は、多くの犯罪で適用されます。

殺人、傷害、窃盗、強盗、詐欺、放火などの犯罪では懲役が規定される一方で禁錮が規定されていませんので、禁錮になる可能性はありません。

これらの犯罪は、道徳的により強く非難されるべきであると考えられているためです。

特に懲役が科されやすいのは犯行が重大であるケースです。

禁錮や罰金が併せて規定されている犯罪でも、より重く処罰すべきと判断されると懲役が選択されます。

交通事故で過失運転致死傷罪に該当するケースでも、脇見運転などで過失の程度が大きく、死亡事故などの重大な結果が生じた場合には禁錮ではなく懲役が選択される可能性があります。

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