授乳中はママもはちみつはNGなの?
「乳児にはちみつはNG」という知識があるママは、授乳中に自分がはちみつを食べてよいのか悩むはずです。ママがはちみつを食べると乳児にリスクがあるのか見ていきましょう。
ママははちみつを摂取しても大丈夫
1歳未満の乳児にははちみつを与えられませんが、授乳中のママははちみつを食べてもOKです。大人ははちみつを消化できるので、はちみつアレルギーでなければ健康上の問題は起きません。
「はちみつの成分が母乳を通じて、赤ちゃんに影響を与えるのでは?」と考えるママもいるでしょう。しかし、はちみつの成分がそのまま母乳に混ざることはないため、母乳を通じて乳児の口に入る危険性はありません。
妊娠中の摂取も問題なし
授乳中だけでなく妊娠中も、はちみつを摂取して構いません。むしろ、はちみつには豊富な栄養があり、体内で素早くエネルギーに変わるといううれしい特徴があります。
「整腸作用」「のどの痛みの緩和」といった効果も期待でき、妊婦の健康をサポートしてくれる食材です。ただし、はちみつは高カロリーな食材でもあるので注意が必要です。
はちみつ100gあたりのカロリーが約294kcal、スプーン大さじ1杯(約22g)あたりが約65kcalです。砂糖のカロリーは100gあたり約384kcalであり、砂糖に比べればはちみつのカロリーは控えめですが、たくさんの量を摂ると肥満の原因にもなり得ます。
妊娠中の過剰な体重増加は様々なリスクにつながるので、適度に摂取しましょう。
そもそも乳児にはちみつがNGな理由は?
乳児にはちみつを与えてはいけないと知っていても、理由を詳しく知らない人もいるでしょう。はちみつが乳児に与える影響について紹介します。
乳児ボツリヌス症のリスクがある
はちみつには「ボツリヌス菌」が含まれており、1歳未満の乳児にはちみつを与えると、「乳児ボツリヌス症」に感染するリスクが高まります。
1歳未満の乳児の腸内環境は、大人に比べて未熟です。はちみつを食べるとうまく消化できずに腸内でボツリヌス菌が増えてしまい、健康上の問題を引き起こすだけでなく、最悪の場合は命の危険があります。
ボツリヌス菌は一般的な調理法で加熱しても死なないので、はちみつ入りの飲料や加工食品、料理への使用もNGです。1歳未満の乳児には与えないようにしましょう。
大人の腸内には様々な腸内細菌が住んでおり、ボツリヌス菌の増殖を抑えられるので、大人が食べる分には問題ありません。
初めて与える際の注意点
はちみつを与えられるようになるのは「1歳を過ぎてから」です。体調がよいときを見計らって、少しずつ与えましょう。
1歳を過ぎたからといって、急に大人と同じ腸内環境になるわけではないので、様子を見ながら与えます。
そもそも、はちみつ以外にも甘味を感じられるものはたくさんあり、はちみつを与えることにこだわる必要はありません。例えば、さつまいもやかぼちゃなどの食材からも、甘味を感じられます。
授乳中は避けた方がよい食材
はちみつは授乳中に食べてもよいですが、そのほかに避けた方がよい食材もあります。授乳中にはどんな食材を避けるべきなのか、見ていきましょう。
油や砂糖を多用したもの
授乳中に油を多用した食べ物を積極的に摂取していると、母乳がドロドロになって乳腺のつまりが起きやすくなります。乳腺がつまった状態が続くと「乳腺炎」を引き起こすリスクもあるでしょう。
脂肪分や砂糖などが多く含まれている食品もまた、乳腺炎を起こしやすくします。バター・生クリーム・チーズ・脂身の多い肉・揚げ物などは摂り過ぎに注意しましょう。
これらの食材をまったく食べてはいけないわけではありませんが、栄養が偏らないように野菜や魚などを取り入れながら、バランスを考えた献立にすることが大切です。
インスタントなどの加工食品
授乳中は、インスタント食品などの加工食品はできるだけ避けた方が無難です。食品添加物として使用されている「リン酸塩」は、カルシウムの吸収を邪魔し体に悪影響を及ぼすことがあります。
リン酸塩は、カップ麺やパンなどに多く含まれる成分です。加工食品を利用したいときは、できるだけ「無添加」のものを選びましょう。
授乳中は普段よりもカルシウムが失われやすく、カルシウム不足は骨密度を下げるだけでなく、気持ちが苛立つ原因にもなります。インスタント食品を食生活の中心にするのは止め、ひじき・納豆・小魚などカルシウムの多い食材を意識的に摂ることが大切です。
カルシウムは「ビタミンD」と一緒に摂ると、吸収されやすくなります。青魚やきのこ類などを同時に摂り、ビタミンDを増やすために効果的な日光浴なども取り入れましょう。
カフェインの摂取も控えめに
授乳前にママがカフェインを摂取すると、乳児にも影響が出ることがあります。興奮状態になったり寝付きが悪くなったりする可能性があるので、どうしても飲みたい人は、授乳後にタイミングを見計らって飲む方が安心です。
カフェインを含む飲料というと、コーヒーを思い浮かべがちですが、紅茶・緑茶・ココアなどにもカフェインが多く含まれます。
エナジードリンクや清涼飲料水のなかにも、カフェインが多く含まれるものがあるので、パッケージの成分表などをチェックして、摂り過ぎに注意しましょう。
参考:食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
意識して摂取したい食材もチェック
授乳中は乳児への影響を考え、食事の内容にも気を配りたいものです。意識して摂取したい食材を見ていきましょう。
実は有能「白米」
授乳中は、栄養価の高い食材を積極的に摂取しましょう。健康のために雑穀や玄米などを主食にしている人は多いですが、授乳中は消化吸収に優れた白米がおすすめです。腹持ちもよく、間食を減らす効果も期待できます。
ダイエットのために炭水化物を抜く人もいますが、授乳中はたくさんの母乳を作らなければならないので、炭水化物も含めて普段よりも「質のよい食事」を心掛けましょう。
必要なエネルギーや栄養素が不足すると、母乳の出が悪くなる原因にもなります。
食べ方豊富な「魚類」
魚類には、体を作るために欠かせないタンパク質が多く含まれています。青魚には、脳の神経細胞を発達させるために効果的な「DHA(ドコサヘキサエン酸)」が含まれているところにも注目です。
ママがDHAを多く含む食品を摂ると母乳内のDHAも多くなるという研究結果も報告されているので、乳児の健やかな発達のためにも意識して摂取しましょう。
魚の種類によってDHAが含まれる量は異なり、特にサンマ・アジ・サバなどに多く含まれています。魚は焼き魚・煮魚・ムニエルなど様々な調理法があるので、飽きずに楽しめるでしょう。
魚の調理が面倒な人は、刺身や缶詰などを利用すると手間がかかりません。
参考:第3回全国母乳調査 母親の食事やDHAサプリメント摂取と母乳中の脂肪酸組成との関係についての研究結果が論文掲載されました|雪印ビーンスターク
調査・研究論文一覧 | 母乳研究 | 雪印ビーンスターク㈱-すこやかな笑顔のために
水分摂取も意識して
母乳の成分の大半は水分なので、授乳中のママは水分不足に陥りやすい状態です。意識して水分摂取を心掛けましょう。冷たい水を飲むと体が冷えてしまうので、温かい飲み物やスープなどを適度に取り入れる方法がおすすめです。
授乳中はノンカフェインの「ルイボスティー」「ハーブティー」などを飲むと、水分摂取をしながら気分転換ができます。
ルイボスティーは、カルシウムやマグネシウムなど不足しがちなミネラルが含まれ、ホットでもアイスでも楽しめるところが魅力です。
まとめ
授乳中にママがはちみつを食べても問題はありません。ただし、1歳未満の乳児がはちみつを口にすると乳児ボツリヌス症にかかる危険があるので、はちみつが付いたスプーンを乳児の手が届く場所に置きっ放しにしないといった注意が必要です。
はちみつを与えたいときは、必ず1歳を過ぎるまで待ち、様子を見ながら少しずつ与えるようにしましょう。
よい母乳を出すには、白米・魚類・野菜類などをバランスよく摂取する方法がおすすめです。納豆やひじきなどもよい母乳を出す手助けになるので、あっさりとした和食の献立をベースにするとよいでしょう。