「保育園の子はやんちゃ」「保育園の子の家は自由奔放で元気がよすぎる」「幼稚園の子はのんびりしている」「幼稚園の子は世間知らずで、未知のタイプの子と接すると引いてしまう」などなど、さまざまなことが言われがち。
でも、そもそも「幼稚園卒」と「保育園卒」とでは、なぜ親の考え方の違いが互いに気になってしまうのだろうか。
「ひとつには、30~40代の女性は、ライフスタイルの対立が起こりやすいということがあると思います」と話すのは、ノンフィクションライターの杉浦由美子さん。
「男性同士の場合、会社員の同僚に『キミは独身で、ラクで良いね』と言っても問題になりませんが、女性同士だったら大変なことになりますよね。女性の場合は、独身か既婚か、子アリか子ナシか、教育方針などによっても、違いが『対立』となってしまいやすいのです」(杉浦由美子さん 以下同)
今は育児に参加している男性も多いが、公園などで会っても、お父さん同士でコミュニケーションすることはあまりないそう。それに対し、女性同士はコミュニケーションし、仲良くなるからこそ「違い」が生まれ、対立にもなりやすいという。
●ズレや違和感を持つのは、不寛容さのせい?
また、本人は悪気なく言っていることも、相手を傷つけているケースはあるそう。
「人は自分の価値観と違うものを見ると、つい指摘してしまうもの。でも、『えーっ、習い事をさせてないの?』『ウチではジャンクフードは食べさせないの』といった何気ない言葉により、相手が否定された気持ちになることもあります」
また、「ママ友ランチをしている幼稚園ママを“時間の無駄”と批判する保育園ママ」や「仕事で多忙な保育園ママを、“子どもをちゃんと見てあげていない”という幼稚園ママ」などは、互いに不寛容さによる部分もあるのではないかと、杉浦さんは指摘する。
「女性は“自信満々”な生き物ではないので、自分と違うライフスタイルや価値観の人を見ると、まるで自分自身が否定されたような気持ちになってしまうことが多々あります。そのため、自分のプライドを保つために相手を否定したり、批判したりしまいがちです。これは乗り越えるのは難しいテーマですね」
では、「幼稚園卒ママ」「保育園卒ママ」が互いに感じるズレを上手に解消するには?
「まずは『いろんな人がいる』ということを受け入れること。しかし、それを完璧に行うのは不可能なので、ズレや違和感が気になるなら、相手と距離を持つことです。親しくするから、感情によるトラブルも起きてきます。子どもが小学生以上になったら、親同士は無理に付き合わなくても良いと思います」
ママ友は、あくまで子ども同士のつながりであり、「ズレ」があるのは当たり前。親は親で割り切って、自分の「当たり前」をすべての物差しにしないほうが良いのかも。
(田幸和歌子+ノオト)