世の“なんちゃってイクメン“。その特徴は?

第1回 夫を「なんちゃってイクメン」にしないために

共働き世帯が急増する昨今にあっては、妻に負担が偏りがちな育児を夫も率先して行うことが重要。そんな背景もあり、育児を頑張る「イクメン」の存在もクローズアップされています。

しかし、現実的にはママたちが理想とするレベルのイクメンは、そう多くはいないかもしれません。それどころか、日々たくさんの内容に追われる育児のうち、ほんの一部しか手伝わずにイクメンを自称する“なんちゃってイクメン”も多そうです。

ママにとって助けになるどころか、逆にストレスの種にもなりかねない“なんちゃってイクメン”。その特長について、3児の父親であり、イクメン講座なども開催している父親支援NPO法人ファザーリング・ジャパンの代表理事の安藤哲也さんに聞きました。

●「仕方なくやっている感」「手伝い感覚」で育児に携わる

まず、安藤さんは“なんちゃってイクメン”は、主体的に育児を楽しもうという姿勢がない男性に多いと指摘します。

「育児は母親の仕事という価値観が強く、やり方も分からないため、『ママが主担当』で『自分は副担当』というスタンスのパパが多いかもしれません。というのも、とくに現在子育てをしている世代は、父親が働き母親は専業主婦で家事育児を全て担当している、という姿しか見ていないことが多いんです。そのため、イクメンとして望ましい姿が分からないまま、育ってきた環境に左右されているということはいえるかもしれません」(安藤さん、以下同)

真のイクメンに求められるのは、家族への想いと育児への主体性。育児は予想できないことだらけ。日々主体的にのめりこんでいないと、いざというときに役に立ちません。そのためにも、イヤイヤ育児をするのではなく、楽しむことが大事だといいます。

「会社での仕事にたとえると、事業リーダーとしてプロジェクトを仕切れる仕事と、ひたすら資料を作る仕事があるとしたら、多くの人は前者に楽しさややりがいを感じますよね。育児も同じで、ママからお願いされて動いているうちは手伝いという感覚から抜け出せず、育児の楽しさを見出すこともできないと思います。楽しくなければ苦痛になってしまいます。子育ては期間限定なので、せっかくなら楽しんでやろうという思いを持っているパパは主体的に育児に関わっているように感じます」

世の“なんちゃってイクメン“。その特徴は?

●真のイクメンは日々の努力を欠かさない

受け身ではなく育児に正面から向き合うからこそ、上っ面だけのサポートではなく本当に必要なことは何か考えて行動できるものです。

「大事なのは仕事をコントロールして、育児の時間を増やしていくことです。残業をしないで効率よく仕事をしようとか、無駄な作業はないかとか、仕事を見直すことからはじめましょう。子育ては連続していくものなので、週末だけ世話をすればいいというものではなく、ずっと続いていくということを理解するべきです」

いくら親とはいえ、子どもは日常的にコミュニケーションを取っていないとなついてくれません。そうすると、なおさら育児を拒否したい気持ちになってしまいます。

「子どもが慕ってくれないことで、パパの心がダウンして育児への前向きな気持ちがなくなり、果ては家がアウェイになるという負のスパイラルに陥ってしまいます。育児というとおむつを替えたり、絵本読んだりというイメージがありますがそれはあくまでも作業。子育てというのは『家族育て』なんです。育児を通して家族をどうしていきたいか、中長期的な視点を持つことで、おのずと今何をするべきか見えてくると思います」

週末のみ面倒見ただけでイクメン気取り…そんな夫に真のイクメンに生まれ変わってもらうためには、まずは育児の楽しさ、そしてどんな家族にしていきたいかを夫婦で話し合うことから始めることが大事なのかもしれません。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

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お話をお聞きした人

安藤哲也
安藤哲也
NPO法人ファザーリング・ジャパン 代表理事
9回の転職を経て、2006年に父親支援事業のファザーリング・ジャパンを設立し代表に。保育園や小学校ではPTAや学童クラブの会長も務め地域でも活動中。著書に『パパ1年生~生まれてきてくれてありがとう』(かんき出版)など多数。3児の父。
9回の転職を経て、2006年に父親支援事業のファザーリング・ジャパンを設立し代表に。保育園や小学校ではPTAや学童クラブの会長も務め地域でも活動中。著書に『パパ1年生~生まれてきてくれてありがとう』(かんき出版)など多数。3児の父。