生後5~6カ月ごろから離乳食を始める理由
厚生労働省が推奨している離乳食の開始時期は、生後5~6カ月ごろです。まずは、生後5~6カ月ごろから離乳食を始める理由を解説します。
母乳だけでは栄養が不足してくるから
離乳食を始めるまでの赤ちゃんは、母乳・ミルクを吸うことで栄養をとります。ただ、生後6カ月ごろには赤ちゃんの体も大きくなり、母乳だけでは必要な栄養を十分に摂取できなくなるのです。
さらに、生まれたときに母体からもらう「貯蔵鉄」も、生後6カ月ごろには底をつきると考えられています。
ミルクを飲んでいる赤ちゃんも例外ではなく、離乳食をしないままで卒乳すると急激に栄養が不足する恐れがあります。
そのため生後5~6カ月ごろを目安に離乳食を開始し、食事から栄養を摂取する練習をするように推奨されているのです。
参考:鉄欠乏性貧血 - 小児科 - かわかみ整形外科・小児科クリニック(山口県宇部市)
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離乳食を始められる赤ちゃんの特徴
生後5~6カ月というのはあくまでも月齢の目安であり、赤ちゃんの発達に合わせて離乳食を開始することが大切です。
次は、離乳食の開始に必要な赤ちゃんの発達を3つ紹介します。
首がすわり、5秒以上座っていられる
離乳食を始める前には、赤ちゃんの首のすわりと、お座りの状態を確かめましょう。赤ちゃんの首がすわり、支えてあげると5秒以上座っていられるのは、離乳食を始める前提条件だからです。
首がすわっている赤ちゃんは、うつぶせにしたときに自分で頭を持ち上げ、首を動かして顔の向きを左右に変えられます。また、首を支えずに縦抱きにしても、頭をまっすぐに保てるのも特徴です。
さらに仰向けに寝かせてから赤ちゃんの両手をやさしく引き起こしたときに、体と一緒に頭がついてくるかを確認する方法もあります。
食べ物を見て口を動かす・よだれが出ている
食べ物に興味がない赤ちゃんは、離乳食を受け入れる準備が整っているとはいえません。反対に大人が食事をするのを見て、口を動かしたり、よだれが出ていたりする赤ちゃんは、食べ物に興味を持っていると考えられます。
特に、よだれは口に入った食べ物を飲み込みやすくするため、離乳食を開始する前に確認しておきたいポイントです。
赤ちゃんのよだれの量が増え、食べ物に興味を持っていると感じたタイミングで、少しずつ離乳食を開始するとよいでしょう。
舌で押し出す「哺乳反射」が減っている
離乳食を始める前には、母乳・ミルクを飲むために備わっている「哺乳反射」が減っているかを確認することも大切です。
赤ちゃんが口に入ったスプーンや食べ物を舌で押し出すのは反射行動のひとつで、離乳食を嫌がっているとは限りません。個人差があるものの、一般的には生後5~6カ月ごろには哺乳反射が消滅するといわれています。
赤ちゃんの哺乳反射は、口にスプーンを入れたときの反応で確かめることが可能です。口に入ったスプーンを押し出す動きが減ってきたら、離乳食を始めてみましょう。
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離乳食の進め方を月齢ごとにチェック
生まれてから母乳・ミルクで栄養をとってきた赤ちゃんに、離乳食を食べさせるのは簡単ではありません。ここからは、食べさせ方・調理形態など、離乳食の進め方を月齢ごとに解説します。
【初期(生後5~6カ月)】食事に慣れるのが目標
離乳食を開始したばかりの初期に大切なのは、食事に慣れることです。そのため、赤ちゃんが欲しがるだけ母乳・ミルクを与え続けても問題はありません。
赤ちゃんのペースに合わせて、以下のような食材を与えるとよいでしょう。
◆炭水化物を含む食材の例
・10倍がゆ
・食パン(耳なし)
・さつまいも
◆ミネラルを含む野菜
・果物などの例
・かぼちゃ
・にんじん
・トマト
・ほうれん草
・りんご
※ゆでてからすりつぶす
◆たんぱく質を含む食材の例
・つぶした豆腐
・白身魚(ひらめ・かれいなど)
※魚類は必ず加熱する
・回数:1回
・食べさせる時刻の目安:10~11時(※かかりつけ医の開院時間にする)
・調理形態:ペースト
食材は炭水化物から野菜・果物などのミネラル、たんぱく質と、順番に与えていくのがポイントです。
なお、新しい食事を与えるときはひとさじずつ試し、出汁・素材の味を生かした味付けを心掛けるのもポイントです。
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【中期(生後7~8カ月)】食品の種類を増やそう
離乳食に慣れてきた中期には、食べられる食品の種類を増やすことが大切です。
離乳食の回数を1日2回に増やし、ほうれん草・小松菜など、不足しがちな鉄を含む食材を積極的に取り入れるようにしましょう。
・回数:2回
・食べさせる時刻の目安:10~11時/14~15時
・調理形態:指でつぶせる硬さ
※豆腐が目安
・炭水化物を含む食材の例
・7倍がゆ
・うどん
・じゃがいも
・さつまいも
・ミネラルを含む野菜・果物などの例
・レタス
・なす
・小松菜
・きゅうり
・さやいんげん
・たんぱく質を含む食材の例
・ヨーグルト
・全卵
・しらす干し
・たら
・ささみ
・納豆
※卵・魚類は必ず加熱する
離乳食を食べさせる時間は目安で、赤ちゃんの昼寝時間を考えて、午後の時間を夕方に設定する方法もあります。
ただし、寝つきが悪くなる恐れがあるため、19時以降の離乳食は控えるのがおすすめです。
調味料で味付けをしたり、とろみをつけたりして、飲み込みやすく工夫することもポイントです。しっかりと火を通して粗くつぶしたものを、食物アレルギー・消化の状態に注意しながら食べさせます。
特に、卵はアレルギーが起こる可能性がある食品です。固くゆでてつぶした黄身だけを少量、お湯・水などでペースト状にしてから与えます。徐々に量を増やしていくなど、様子を見ながら食べさせるようにしましょう。
【後期(生後9~11カ月)】手づかみ食べをスタート
歯が生え始める後期には、食事の最中に食材を手でつかんだり、つぶしたりする赤ちゃんもいます。赤ちゃんが食材を手で触るのは、硬さ・形を確かめる行動でもあります。
後期には、赤ちゃんが食材をかんで飲み込めるような調理形態を心がけましょう。
・回数:3回
・食べさせる時刻の目安:8~9時/13~14時/17~18時
・調理形態:歯茎でつぶせる硬さ
※完熟のバナナが目安
・炭水化物を含む食材の例
・5倍がゆ
・パスタ
・山芋
・ミネラルを含む野菜・果物などの例
・長ねぎ
・キウイフルーツ
・ひじき
・海苔
・たんぱく質を含む食材の例
・あじ
・さば
・鶏むね肉
・ひき肉
・レバー(ペースト)
※肉・魚類は必ず加熱する
自分で食事をする際に役立つため、スティック状のパン・野菜を用意したり、レジャーシートを敷いたりして自由につかみ食べができる環境を整えるのが大切です。
もちろん、なかには手づかみ食べをしないままスプーン・フォークで食べ始める赤ちゃんもいます。自分で食事ができるのが最終的な目標なので、手づかみ食べにこだわる必要はありません。
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【完了期(生後12~18カ月)】おやつを取り入れて
完了期には離乳食を食べる量も増えるので、果物・いも類などをおやつに与えてもよいでしょう。完了期に食べさせたい食材の例や調理形態は以下の通りです。
・回数:3回
・食べさせる時刻の目安:大人と同じリズム
・調理形態
・肉団子ほどの硬さ
・手づかみできる大きさ
・炭水化物を含む食材の例
・軟飯
・中華麺(細かく切る)
・ロールパン
・ミネラルを含む野菜・果物などの例
・きのこ類(やわらかくゆでる)
・ブロッコリー
・キャベツ
・たんぱく質を含む食材の例
・いわし
・さんま
・あさり
・かに
・牛肉(赤身)
・豚肉(もも肉)
・ハムやソーセージ
・牛乳(調理用)
・豆乳(調理用・飲み物)
※肉・魚類は必ず加熱する
手づかみ食べから自分でスプーン・フォークを使う練習をし、自立を促していきます。また、完了期は好き嫌いが出てくる時期でもあるため、フォローアップミルクを飲ませて不足しやすい鉄などを補うことも大切です。
さらに、大人と一緒に食事をするのを重視するあまり、生活リズムが崩れやすくなってしまうのも完了期の特徴です。
外出をして夕食が遅くなる場合は赤ちゃんだけ早めに食べさせるようにし、できるだけ19時以降の食事を控えるようにしましょう。
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離乳食のストレスを減らすポイント
1年以上続く離乳食期を楽しく乗り切るためには、無理をしないことが大切です。最後に、離乳食期のストレスを減らすポイントを2つ紹介します。
食べる時間・量にこだわらない
離乳食には大きく4つの段階があり、主に赤ちゃんの月齢で区切られています。ただ、離乳食の段階はあくまでも目安なので、食べる時間・量にこだわりすぎる必要はありません。
段階ごとに示されている量の離乳食を食べなくても、体重の増え方が母子手帳の成長曲線に沿っているのであれば問題はないでしょう。
生まれてからずっとミルク・母乳で栄養をとってきた赤ちゃんにとって、離乳食を食べること自体がひとつの試練です。大人の気分がその日によって違うように、赤ちゃんにも離乳食に気が向かないタイミングがあります。
育児の本やマニュアルの通りに進まないことを理解し、赤ちゃんが離乳食を食べやすい時間・量に調整することが大切です。
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ベビーフードも活用しよう
手作りの離乳食にこだわらず、ベビーフードをうまく活用するのもストレスの緩和に役立ちます。
SNSで紹介されている手の込んだ離乳食を見て、「自分も頑張って離乳食を作らなければならない」と思っている人は多いのではないでしょうか?
しかし、特別な日に食べるおしゃれな食事とは違い、離乳食の準備は日常的に続きます。また、すべての赤ちゃんが手作りの離乳食を好んで食べるわけではありません。
月齢に合わせて作られたベビーフードは、赤ちゃんが食べやすい味付け・硬さで調理されています。手作りの離乳食を食べない赤ちゃんには、ベビーフードを与えてみるのもひとつの方法です。
まとめ
母乳・ミルクから食事へと、栄養摂取の方法が大きく変わる離乳食期は、赤ちゃんにとっては高いハードルだといえます。離乳食は生後5~6カ月ごろから、赤ちゃんの発達に合わせて進めるのがポイントです。
首がしっかりとすわり、ある程度お座りができるようになったら、体の発達は離乳食を始める基準を満たしています。
さらに、食べ物に興味を持ち始め、スプーンを舌で押し出す回数が減ってきたら離乳食を開始する合図です。離乳食は段階を追って、親と赤ちゃんに無理のないペースで進めていきましょう。
赤ちゃんが自分で食事から栄養をとれるようになるのが最終目標です。与える時間・量などにこだわりすぎる必要はありません。離乳食のスケジュールをひとつの目安に、赤ちゃんとの食事時間を楽しみましょう。