子育て支援員とは?
子育て支援員は、昨今の保育現場のニーズをもとに設けられた新しい職業です。まずは、子育て支援員の仕事内容や、主な活動場所について押さえておきましょう。
「子ども・子育て支援新制度」によって設けられた職種
子育て支援員とは、保育現場でのサポート業務を行う人材を指します。内閣府が掲げた「子ども・子育て支援新制度」によって定められ、共働き家庭の増加や、保育士の人材不足などを背景に、保育の担い手を増やす目的で設けられました。
子育て支援員の活動場所は、主に下記のような施設が挙げられます。
・小規模保育施設
・家庭的保育施設
・ファミリー・サポート・センター
・一時預かり
・放課後児童クラブ
・地域子育て支援拠点
未就学児の食事やトイレの補助・お散歩の付き添いなど、保育士とともに現場に立ち、保育のサポートを行うことが主な仕事内容です。
保育士との違いは?
子育て支援員と保育士、この2つの職業の違いはどこにあるのでしょうか?「資格」と「給与・待遇」の2つの視点で解説していきます。
保育士は「国家資格」子育て支援員は「民間資格」
保育士と子育て支援員は、取得している「資格」が大きく異なります。
保育士は、保育士資格という「国家資格」を取得した人が従事でき、子育て支援員は地方自治体によって定められた「民間資格」を取得した人が従事できます。
保育士資格は、指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格すれば取得可能です。国家資格なので、資格を取得する難易度は高くなります。
子育て支援員の資格を得るには、地方自治体が設けている研修を受講する必要があります。受講後に「子育て支援員研修修了証書」が交付されれば、晴れて子育て支援員として働くことが可能です。
給与・待遇は保育士に準ずる
内閣府が実施した2014年の子ども・子育て会議にて、子育て支援員の給与は年収250万程度を想定すると発表されました。
子育て支援員は保育士のサポートが主な業務なので、給与は保育士の水準よりはやや低くなる傾向にあります。
昨今は、保育士の待遇改善や給与の引き上げを希望する声が高まり、保育士という仕事の内容が見直されつつあります。子育て支援員も、保育士に続く形で今後の給与・待遇がよくなる可能性は十分にあるといえるでしょう。
子育て支援員になるための手順は?
「子育て支援員になりたい!」と考えている人のために、子育て支援員になるための手順を具体的に解説していきます。
(1)求める人材を理解する
子育て支援員になるにあたって、育児経験や保育士資格の有無、これまでの業務経験などは問われません。ただし、やみくもに「保育に関わりたいから」と取得をめざすのではなく、求められる人材を理解する必要があります。
厚生労働省が掲げる子育て支援員の趣旨には「地域において保育や子育て支援等の仕事に関心を持ち、保育や子育て支援分野の各事業等に従事することを希望する者」と記載があります。
上記の趣旨をしっかりと理解した上で、子育て支援員になるか改めてじっくりと考えてみましょう。
(2)基本研修を受ける
子育て支援員の資格を取得できる研修は、それぞれの地方自治体によって実施されています。まずは自治体のホームページを確認して申し込みましょう。
基本研修は8時間8科目あり、子育て支援員として働くために最低限必要な知識や技術を学びます。
基本研修のカリキュラムは以下の通りです。
(1)子ども・子育て家庭の現状(60分)
(2)子ども家庭福祉(60分)
(3)子どもの発達(60分)
(4)保育の原理(60分)
(5)対人援助の価値と倫理(60分)
(6)児童虐待と社会的養護(60分)
(7)子どもの障害 (60分)
(8)総合演習(60分)
この研修で、子育て支援員としての在り方や、子どもへの関わり方を理解します。
(3)専門研修を受ける
専門研修では、それぞれ希望するコースを選択し、より実務に近いカリキュラムを学んでいきます。
コースは下記のように大きく4つに分けられており、より地域社会が求めるニーズに沿った内容になっています。
・放課後児童コース
・社会的養護コース
・地域保育コース
・地域子育て支援コース
研修期間は選択するコースや、地方自治体が定める研修内容によって変動するので、こちらも自治体のホームページで確認しましょう。
(4)修了証書交付後、様々な現場で活躍する
基本研修と専門研修を終えると、子育て支援員研修修了証書が交付され、子育て支援員として認定されます。
育児経験や業務経験が無い人でも、子育て支援員の資格を取得することで、就職活動に活かせるのが子育て支援員のメリットです。民間資格といえど、保育現場で働きたい人にとっては、とても魅力的な資格といえるのではないでしょうか。
まとめ
子育て支援員は、保育士不足や共働き家庭の増加により、保育の担い手を増やす目的で設けられた職業です。
育児経験や保育の業務経験が無くても資格を取得できるため、これから保育現場で働きたいと考える人におすすめの資格といえます。保育の現場で、子どもたちを見守る子育て支援員をめざしてみるのはいかがでしょうか。